片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

「まさかそんな勘違いをされているとは思ってもみませんでしたよ」
「そうなのですね。なんだか、申し訳ありません」
「熱を帯びていたのは、たぶん違う意味です」

「違う意味とは?」
「殿下は目を離すと危険なんです。あの方、見た目とはだいぶ違った性格をしておりまして、それこそ池の魚を素手で掴んでみたり、木に上ったり、バルコニーから勝手に飛び降りてみたり」
「……え?」

 ある意味斜め上を行くルドウィックの言葉に私は固まってしまった。

 ルドウィックはいかに護衛騎士として苦労してきたか、つらつらと言葉を重ねていく。

 私たちが想像していたお淑やかで可憐な王女殿下像というものは、いかにして作られたものだったのかと思い知ったほどだ。

 まさか殿下がそんなに自由奔放でお転婆な方だとは、思いもしなかったわ。

「王女像を崩さないって、本当に大変なんですよ」
「……それは大変そうですね」
「だいたい初めに婚約が決まった時だって、相手とつかみ合いの喧嘩をしたぐらいですし」

 えええええ。
 もう全く想像が追い付かないわ。

 だって、殿下はこの前輿入れは嬉しいと言っていたわよね。

 相手を尊敬できるし、上手くやっていく自信があるって。

 なのに初対面で喧嘩って……。もう何がどうなっているの。