片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

「うちに雇用されたいとおっしゃっていましたものね。流行の契約婚とか、白い結婚などという感じでしょうか。さもなくば」
「落ち着いて下さい。本当にどうされたのです」

 彼は下を向く私の両手を掴んだ。
 そして真っ直ぐにただ私を見ている。

 その瞳に映る私。

 願ったことなのに、それだけでどこまでも惨めさを感じた。

 彼への思いと共に、ぼろぼろと涙がこぼれ出す。

「嫌です」
「え?」
「あなただけは嫌なんです」

 そう嫌だ。
 ルドウィックとの婚約だけは、嫌だった。

 父には誠実で一途な人がいいと、わざと言った。

 その時はその裏で確かにルドウィックを思っていた。

 だからこそ、嫌なんだ。