片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

 しかし怯むことのないコンラッドは、ルドウィックに食ってかかる。

「おれはわざわざアリスティーネの婚約者として戻ってやっただけだ。部外者に何を言われる筋合いもない」

 コンラッドの言葉を、ルドウィックは鼻でただ笑った。
 
「戻って、ね……。悪いが、今はもう彼女は俺の婚約者なんだ」
「は⁉」

 今までで一番間の抜けた顔を、コンラッドはしていた。

 いやそれよりも、彼の言ったことはどういう意味なの。
 今、婚約者だと言ったわよね。

 しかも彼女というのは、私のことという意味でしょう。

「ルドウィック様、あの」
「先ほど公爵にお願いして、あなたとの婚約を申し込んできたところなんだ。本当はちゃんと言うつもりだったのだが、こんな馬鹿がいるとは思わず、こんな形になってしまってすまない」

 ややシュンとした表情をしながらも、どこまでもルドウィックの顔は優しかった。

 まさか彼が私に婚約を申し込むだなんて。
 誰がこんな展開を予想できただろう。