この家、全員まともじゃない。②

「早く入って。風邪引くよ。」


不器用な優しさを持ってる澪くんは、とっても素敵だと思う。


あ、もちろん恋愛的な意味じゃないから……!


「藍、勉強は?」


急に人が出てきて、思わず後ずさる。


誰だろうと見てみると、零夜さんだった。


零夜さん、爽やかだけど優等生っぽいもんね……。


「後でや「今すぐやれるか?」


れ、零夜さんったら……。


でもまあ、もう少し藍くんと居たいと思ったけど、わがままを言うわけにもいかない。


「藍くん、勉強頑張って……!」


励ますように笑うと、なぜか藍くんは目を見開いた。


そして捨てられた子犬のように目を潤ませて……。


「勉強終わったら、なんでもしてくれる?」


うっ……さすが末っ子。可愛さが半端ないよ……。


「……藍。わがまますぎ。自覚持って。」


澪くんがバッサリと切り捨てた。


あ、あはは。すごい……。


「……。」


藍くんは無言で澪くんを睨むと、大人しく自分の部屋へと行った。


「じゃあ俺も勉強してくるね。」


零夜さんは相変わらずの爽やかスマイルで奥へと消えていく。


残ったのは、澪くんと私だけ。


二人きりになった瞬間、急に澪くんが襲ってきた。


「なっ──」


また床ドン……。


しかも今は前よりも距離が近い。


もうおでことおでこがくっついてる。


「……ごめんなさい。でも我慢できないから。」


「えっ、ちょっ……。」


さらに体を密着させてくる澪くん。


「……もっと澪の事好きになってくれればいいのに。」


えぇぇっ……!?


み、澪くんっ……。


両手を片手で頭上に縛られていて、抵抗できない。


澪くんは可愛い子だと思っていたけど、ちゃんとした男の子なんだと思う。


でも藍くんに罪悪感を感じ、勇気を振り絞る。


「は、離して……っ」


何とかか細い声で言う。


「はい、そこまでー」


きゅ、救世主……?


視線を向けると、蓮くんだった。


なんか、蓮くんがいつもより輝いて見える……。


「澪、抜け駆けは良くないぜ?世界は平等だろ?」


サングラスをくい、と下にずらす蓮くん。


い、色気が……。


「……なに、蓮兄。邪魔しないでよ。」


澪くんは不機嫌そうに眉間に皺を寄せて威嚇した。


なんか、猫の威嚇みたいで可愛いけど……、いきなり襲うのは許せないよ!


もう怒だよ怒っ……!


「ほら、琴音ちゃんだって頬を膨らませて完全キレてるぜ?」


「……可愛いしか感想が出てこない。」


「シスコンかよ。」


私は大して可愛くないけど、褒めてくれるのは嬉しいっ……。


自然と笑みが溢れる。


そんな様子の私の見た瞬間、蓮くんは首が赤くなり、澪くんはそっぽを向いた。


「……?」


「……やば。俺、ここまで結構耐えたよな。乙、俺の理性。」


「……まじで精神持たないからやめてほしい……」


んん……?


何言ってるのか聞こえないな……。


まあ、いっか……!


物事は楽観的に考えるべしって言うしねっ……!


すると、家のインターホンらしきものが鳴った。