この家、全員まともじゃない。②

Side:青雲 紬 ( せいう つむぎ )



僕は、ゴクリと唾を飲んだ。


今日から僕は、青雲家の家族になる。


今は、夜の9時。


恐る恐るインターフォンを鳴らしてみる。


ピンポーン。


ガチャ。


ドアが開く。


「……誰。」


出てきたのは、息を呑むほどイケメンな男。


「うわ、イケメン……。あっ、じゃなくて……、決して下心はなくて……。」


口ではそう言いつつも、ブルーブラックのセンター分けが目に焼き付いて離れない。


か、かっこいい……。


僕とは到底比べ物にならない程の顔面暴力。


「……別に。あんたに言われても嬉しくないし。……青雲家になんの用。」


だ、だよな……。こんなチビに言われてもなんの得もないよな……。


一人で落ち込んでいると、他の声が聞こえた。


「なになに何事?うわ、イケメンだね。」


ぼ、僕がっ……!?


バッと顔を上げる。


声を発したのも、そのまたイケメン。


サングラスがよく似合っていて、同性の僕でも少しドキッとしてしまう。


「わぁ…。」


綺麗なソプラノの声が聞こえた。


声がする方へ視線を向けると──。


まさに絶世の美女と言っても過言では無い、国宝級美少女がいた。


え、何この家族。僕が一番顔面偏差値最底辺じゃん……。


「……で、誰。」


ブルーブラックのセンター分けの人がそう言った。


あ、そうだそうだっ。


「僕は青雲 紬って言います!なんか青雲家の家族になるらしくてっ」


元気良く挨拶する。


ブルーブラックのセンター分けの人は眉を顰めた。


えぇぇっ!うるさいヤツだな、とか思われてないかな!?


「まあとりあえず入ったら?」


サングラスの人が促してくれた。


良かった……。良い人も居るもんだな……。


「はいっ!」


僕はきちんと敬礼して、家に入る。


……ん?


入った瞬間、僕はかなり動揺した。


ご、ゴゴゴゴゴ……


豪邸っ!?


天井はありえないほど高く、シャンデリアは大きすぎる。


しかもテーブルは長くて10m以上、、、、


や、やべぇ……。


今日から僕はここに住むんだと思うと、めちゃくちゃワクワクする。


「……ん?そちらの明るい茶髪の少年は誰かな?」


上から聞こえた、凛とした声。


上を見上げると──。


螺旋階段から優雅に降りてきてる人が居た。


ダークグレーのかっけーナチュラルショートヘア。


めっちゃテンション上がる……!


「ああ、もしかして君が今日から俺らの家族になる──、紬くん?」


「は、はいっ!」


余裕満々の彼につい憧れそうになる。


僕は目を輝かせながら尊敬の念を抱いた。


「へー。家族なのか。よろ☆俺男には興味ないけど♪」


サングラスの人が言う。


お、男には興味ないって……。辛辣だな……。


「わ、私の名前は青雲 琴音って言いますっ……。君と同じで、昨日兄弟になったばっかりだから……よろしくねっ……!」


超絶美少女が可愛く言った。


緊張しながら勇気振り絞ってるのキュン死……。


……って、こんな事思ってたら引かれるよな……。


「……青雲 澪。」


「俺の名前は青雲 蓮。覚えとけよ。お前の名前は忘れるけど♪」


澪……。澪、さん……。


蓮……、蓮さん……。いや、敬う気ないから蓮くんでいいや。


「おっけーですっ!零夜さん、琴音ちゃん、澪さん、蓮くんって呼びますね!」


僕はエイエイオーポーズをした。


琴音ちゃんがクスッと笑ってくれたのが幸福っ……!


「俺だけくん付け?てか琴音ちゃんは俺が呼んでるからナシだわ。」


むぅ……。自己中だな……。


ことね……、こと…ね、こと……、ことちゃん……。


「あっ!……じゃあ琴ちゃんでいいですか?」


「……意外とネーミングセンスあるね。」


センター分けの人にセンスあるねって言われちゃった。


えへへっ、嬉しいっ……!


「俺には蓮様って呼べ。」


「分かりましたっ。クソ兄貴って呼びますねっ!」


「は、…プツッ」


というか、みんな何歳なんだろ。


そんな僕を察したのか、琴ちゃんが説明してくれた。


「私は16歳で、零夜さんは19歳。蓮くんは18歳だよ。澪くんは17歳。あと一人、藍くんって男の子がいるんだけど、その人は15歳で一番末っ子だよ。」


へー。じゃあ蓮くんはそのままクソ兄貴でいっか。


僕は16歳だから、琴ちゃんと同い年!


やった……!


「大体説明は終わりだな。じゃあ今から琴音と紬の部屋を紹介する。こっちおいで。」


「「はーい!(……!)」」


ハモったのが嬉しくて、僕のテンションがもっと上がる。


この家族で良かった……!と心の底からそう感じた。