「なぁ、律。律だったら、どうする?もし自分が虐待をされていたら。俺だったら、きっと耐えられない。でも、彼女はその苦しみを今まで1人で抱えてきた。」
「俺は、分かんない。虐待されたことなんて無いしさ。でも、何度も見てきた。そんな子を。陽斗だってそうだろ。職業柄、避けては通れないんだから。でも、毎回思うのは、過去は変えられないからこそ、今後は絶対に苦しませないって思ってる。
それに、彼女にとって親は親なんだよ。どんなに嫌いでも、蹴られても殴られても、さ。」
その言葉を聞いて、すごく考えさせられた。律とは小学2年生の頃にあってからずっと一緒にいる。律自身も、複雑な家庭環境だったことを知っているから、その言葉により重みを感じた。
「親は親、か。そうだよな。今まで、虐待を受けて運ばれてきた子供を何人か見てきたし、その度に、やるせない気持ちが生まれてきたよ。でも、子供にとったら、その人たちが居なかったら、生まれてこなかったわけだし、寝る場所もなかったわけだしね。律、ありがとう。ちゃんと、話してみる。」
「おう。」
その日は、仕事を早めにおわりにして、最後に美月ちゃんの病室を覗いてみた。ぐっすり寝ていたので起こさずに帰ることにした。
