私が初めて彼を認識したのは、客室乗務員になったばかりの頃だった。
「ねぇ、見て。また福本さんが瀬戸さんに話しかけてる」
「本当だ。最近よく一緒にいるのを見かけるよね」
同期の福本さんは入社当時から何かと有名人だった。見た目の華やかさはもちろんのこと、父親が役員を務めているということもあって、先輩たちの態度も彼女だけ特別だったことを今でもよく覚えている。
そんな福本さんが一目惚れしたという噂の彼は、新米パイロットで地上勤務中だった。この頃の稔さんはグランドスタッフ業務を経験していて、見かけるたびに稔さんに声をかけていた。
稔さんは整った容姿をしていて、誰が見ても爽やかでカッコいい人だったため、憧れる人は多かった。
でも福本さんの気に障りたくない人も多く、みんな彼に憧れるだけで想いを伝える人はいなかったらしい。
仕事を覚えることでいっぱいいっぱいだった私は、恋愛どころではなかった。それに結婚に憧れを抱くことができなかったから。
だから彼とは今後も挨拶を交わす程度の仲だと思っていた。……入社して半年が経ったあの日までは。
それはフライトを終え、オペレーションセンター内にあるオフィスへと戻る途中のこと、焦った様子で旅行客に声をかけられた。
英語はそれなりに自信があったものの、フランス語で話しかけられたため、相手は困っているのに理解できなくて私も動揺してしまった。
どうしたらいいのかと困り果てていたところ、助けてくれたのが稔さんだったんだ。
彼は流暢なフランス語で相手の話を聞き、すぐに困っていることを理解した。どうやら搭乗時間が迫っているのに、出発ロビーがわからなくて迷っていたとのこと。
流れで私も一緒に案内することになり、無事に違うターミナルだった出発ロビーまで送り届けることができた。
「あの、ありがとうございました」
戻る道中にお礼を言ったものの、彼は「当然のことをしたまでですので、気にしないでください」と言うだけで、会話が続かず気まずくなる。
偶然とはいえ、彼と一緒にいるところを福本さんに見られたら大変だ。とにかく早く別れたいと思いつつも、無言の空気に耐えられなくなって咄嗟に「フランス語、話せるのすごいですね。今後のために私も勉強したいと思います」と言ったところ、意外な答えが返ってきた。
「ねぇ、見て。また福本さんが瀬戸さんに話しかけてる」
「本当だ。最近よく一緒にいるのを見かけるよね」
同期の福本さんは入社当時から何かと有名人だった。見た目の華やかさはもちろんのこと、父親が役員を務めているということもあって、先輩たちの態度も彼女だけ特別だったことを今でもよく覚えている。
そんな福本さんが一目惚れしたという噂の彼は、新米パイロットで地上勤務中だった。この頃の稔さんはグランドスタッフ業務を経験していて、見かけるたびに稔さんに声をかけていた。
稔さんは整った容姿をしていて、誰が見ても爽やかでカッコいい人だったため、憧れる人は多かった。
でも福本さんの気に障りたくない人も多く、みんな彼に憧れるだけで想いを伝える人はいなかったらしい。
仕事を覚えることでいっぱいいっぱいだった私は、恋愛どころではなかった。それに結婚に憧れを抱くことができなかったから。
だから彼とは今後も挨拶を交わす程度の仲だと思っていた。……入社して半年が経ったあの日までは。
それはフライトを終え、オペレーションセンター内にあるオフィスへと戻る途中のこと、焦った様子で旅行客に声をかけられた。
英語はそれなりに自信があったものの、フランス語で話しかけられたため、相手は困っているのに理解できなくて私も動揺してしまった。
どうしたらいいのかと困り果てていたところ、助けてくれたのが稔さんだったんだ。
彼は流暢なフランス語で相手の話を聞き、すぐに困っていることを理解した。どうやら搭乗時間が迫っているのに、出発ロビーがわからなくて迷っていたとのこと。
流れで私も一緒に案内することになり、無事に違うターミナルだった出発ロビーまで送り届けることができた。
「あの、ありがとうございました」
戻る道中にお礼を言ったものの、彼は「当然のことをしたまでですので、気にしないでください」と言うだけで、会話が続かず気まずくなる。
偶然とはいえ、彼と一緒にいるところを福本さんに見られたら大変だ。とにかく早く別れたいと思いつつも、無言の空気に耐えられなくなって咄嗟に「フランス語、話せるのすごいですね。今後のために私も勉強したいと思います」と言ったところ、意外な答えが返ってきた。



