別れたはずのママとパパは、愛しの三つ子ちゃんに振り回されています

「ママー!」
 二歳になる我が子たちの愛らしい出迎えに、胸がいっぱいになる。
「ただいま。三人ともおりこうにしてた?」
「あい」
「おりこさんだった!」
「ねー!」
 舌足らずなところもまた可愛くて仕方がない。三人で顔を見合わせると、私に抱きついてきた。
「ママ、かえろ?」
「けんごくん、あそこにいる」
「はやくー」
 三人に手を引かれ、疲れ果てているいとこの赤井(あかい)健(けん)吾(ご)のもとへ向かった。
「ごめんね、健吾君。三つ子を連れてお迎えに来てもらっちゃって」
「いや、連れてこないと父さんと母さんが地獄を見ることになったから大丈夫だ」
 これは三つ子が私がいない二日間、だいぶ伯母さんたちを困らせてくれたようだ。
「疲れただろ? 早く帰ろう」
「……うん」
 そうだ、私には帰る場所がある。妊娠した私を出産から今日まで支えてくれた伯母夫婦に、その息子で私より三つ年上の健吾君。そしていつも元気いっぱいの長男の翔(しょう)馬(ま)、わんぱくだけど泣き虫で甘えん坊の次男、翼(つばさ)。しっかり者で一番下だけれど、お姉さんのように仕切っている長女の彩羽(いろは)。
 私が守らなくてはいけない大切な宝物。
 きっと稔さんが三つ子の存在を知ったら、責任感の強い人だ。間違いなく困らせるだけ。
 彼と話をして、勢いに任せてこの子たちの存在を明かさなくて本当によかった。
福本さんと結婚するなら、三つ子のことは知らなくていい。それがお互いの幸せのためでもある。
「ママ、ぼくがおててをぎゅってしてあげる」
「本当? ありがとう」
「あー!ずるい! ぼくも!」
「いろはも!」
手がふたつしかないことが悔やまれる。喧嘩を始めた三人を見かねて、健吾君が翔馬を肩車してくれた。
「ほら、翔馬はこれでいいだろ?」
「うん! たかーい!」
 大はしゃぎする翔馬を見て一件落着かと思いきや、今度は健吾君の肩車を巡って喧嘩が始まったものだから、頭が痛くなる。
 でもこの日常がたまらなく愛おしい。私にとってかけがえのない幸せをこれからも大切に守っていこう。