別れたはずのママとパパは、愛しの三つ子ちゃんに振り回されています

 好きな人と将来を誓って大勢の人に祝福されて結婚式を挙げる。普通なようで、一番難しい幸せのかたちだと今ならわかる。
 最後のお見送りの場で友人は私の手を両手で握った。
「次は那奈の番だよ。まだパイロットの彼とは続いているんでしょ? 結婚式、絶対呼んでね」
 期待する目で見られ、たじろいでしまう。
 友人には以前、稔さんとのことを報告していた。それからのことは伝えていないから、まだ彼との交際が続いていると思っているのだろう。
「……うん、わかった」
 絶対に守ることができない約束をしてしまい、罪悪感でいっぱいになる。
「楽しみにしてるね。東京に遊びに来る時は連絡してよ」
「わかったよ」
 友人に見送られ、会場を後にする。
 ホテルの部屋に戻ってシャワーを浴びながら、結婚式のことを思い出す。
 本当に温かくて素敵な結婚式だった。……何度自分と稔さんに置き換えて見ていただろうか。
 浴室から出て体を拭きながら、ふと洗面台の鏡に映る自分の姿を見て苦笑いする。
「どうしてそんな泣きそうな顔をしているの?」
 結婚式に参列してきたのに。
 着替えを済ませて髪を乾かし、ベッドに座ってスマホを手に取る。
 稔さんは必ず連絡をしてくれと言っていたけれど、本当に連絡をしてもいいの? だって彼には……。
 昔の記憶が蘇り、ギュッと目を瞑る。
 でも、もしかしたらこの先もまた彼と再会することがあるかもしれない。幸いなことに今、私はひとりだ。
 会って話をするなら絶好の機会なのかもしれない。それに稔さんが言っていた私に話したい内容も気になる。
 一度大きく深呼吸をして、頭を悩ませながらメッセージ文を作成していく。
 きっと彼は今も私が海外の航空会社に勤務していると思っているだろう。決して彼に居場所を知られるわけにはいかない。
 だから今は友人の結婚式のために帰国していること、そして明日の十一時の便で帰国することを伝え、会える時間はごくわずかしかないことも文字に起こして送信した。
 すぐに既読が付き、返信が届いて緊張がはしる。
【連絡をくれてありがとう。ちょうど明日は十二時半の羽田発新千歳行きの便なんだ。那奈と話がしたい。空港で会おう】
 本当に偶然が重なりすぎて、怖くなるほどだ。