別れたはずのママとパパは、愛しの三つ子ちゃんに振り回されています

 同じ飛行機に乗り合わせたことといい、こんなに広い空港内で偶然にもすれ違うことなんてある? どうしても運命だと勘違いしそうになる。
 ずっと会いたくて、でも会ったらだめな人との再会に微動だにできない。そんな私のもとに彼は大股で近づいてきた。
 咄嗟に逃げようとしたが、すぐ稔さんに腕を掴まれてしまった。
「やっと見つけたんだ、お願いだから逃げないでくれ」
 苦しげに放たれた言葉に、胸がギュッと締めつけられる。
 ゆっくりと視線を上げると、愛おしそうに私を見る彼と目が合ってドキッとなる。
 一八〇センチの長身の彼がパイロットの制服を着ていると、よりいっそうキラキラして見える。清潔感のある黒の短髪に爽やかな出で立ちをしていて、今もすれ違う女性は振り返り見るほどだ。
 三年ぶりに会った彼は、よりいっそうカッコよくなっていた。つい見惚れていると、彼と一緒にいた上司らしきパイロットが声をかけた。
「瀬戸、そろそろ行かないと間に合わなくなる」
 上司の声に我に返った稔さんは、私の腕を離すと急いでポケットからメモ帳を取り出してペンを走らせる。
「これ、俺のメッセージアプリのID。話がしたいんだ、必ず連絡してくれ」
「え? でも……」
「必ず連絡してくれ」
 念を押して私にメモ紙を渡し、稔さんは慌ただしく去っていった。
 彼の背中が見えなくなって、やっと渡されたメモ紙に目を向ける。
「メモに書いてもらわなくても、覚えているのに……」
 大好きな人の連絡先は、消しても忘れることはできなかった。
 彼の文字を見ただけで泣きそうになるほど、私は稔さんのことをまだ好きみたいだ。
 溢れそうになる涙をこらえ、急いで展望デッキで飛行機の写真を数枚撮影して、タクシーで友人の結婚式会場のホテルへと向かった。

 綺麗にヘアメイクをしてもらい参列した友人の結婚式は、終始幸せな時間だった。とにかく友人が幸せそうで、旦那様も素敵な人だった。
 挙式は厳かな空気の中執り行われ、始まったのが夕方ということで夕陽が差すチャペルがまた幻想的で、誓いのキスの瞬間は思わず息を呑むほどだった。
 披露宴では和やかな雰囲気で、久しぶりに友達と会うこともできて楽しいひと時を過ごすことができた。
「那奈、今日は遠いところ来てくれて本当にありがとう」
「ううん、こっちこそ素敵な結婚式に招待してくれてありがとう。……幸せになってね」