別れたはずのママとパパは、愛しの三つ子ちゃんに振り回されています

「もちろん。俺もいつかパイロットとして世界中を飛び回る。お互い日本にいるより会えるかもしれないぞ」
 冗談交じりに言う稔さんにつられて、私もクスリと笑う。
「離れたって俺の気持ちは一生変わらない。だから決して那奈も夢を諦めずに叶えてほしい。そのための協力ならいくらでもする」
「稔さん……」
 本当に私、彼と出会えてよかったと心から思える。こんなにも素敵な人、この先絶対に出会えないよ。
「ありがとうございます。……そうですね、私も離れたって稔さんが好きって気持ちは変わらない自信があります。海外の航空会社への転職、本格的に考えてみますね」
「あぁ」
 すると彼は優しく私の頭を撫でた。大きな手が頭上を行き来するたびに、温かい気持ちでいっぱいになる。
「そろそろ行こうか」
「そうですね」
 公園から予約したレストランは近いものの、向かわないと間に合わなくなる。
 すると先に立ち上がった彼は自然に手を差し出した。
「ありがとうございます」
「当然だろ? 俺が那奈と手を繋ぎたいんだから」
 彼の手に自分の手を重ねて私も立ち上がると、稔さんはギュッと握った。
「予約したレストラン、評判がいいし楽しみだな」
「はい。なに食べましょうか」
「もちろん那奈が食べたいものでいいよ。迷ったら俺がそれを頼むから」
「それじゃ稔さんが食べたいものが食べられないじゃないですか」
 稔さんはいつもそう。外食すると決まってまず私が食べたいものを聞き、迷ってたらそれを注文する。
 歩を進めながら話を続ける。
「俺が食べたいものは、那奈が食べたいものだからいいんだ」
「嘘ですよね?」
「本当だよ」
 どこまで稔さんは優しいのだろうか。
「そんなに甘やかしたら私、すごいわがままになっちゃいますよ?」
「いいね、それ。むしろ俺は那奈にはもっとわがままを言ってほしいよ」
「もう、稔さん?」
 ジロリと睨めば、稔さんはクスクスと笑う。