三角屋根の下で 君と


『ごめんごめん、変なこと聞いて。望月さん
 大丈夫?』

「はい‥ゴホッ‥平気‥です。」

『私は‥‥泱のことが好きです。』

ドクン

凛の口から初めて聞いた泱への気持ちに、胡桃は胸が苦しくなる。

あんな視線を向けてる彼女の気持ちがそうだと分かっていたのに真っ直ぐ答える凛がかなり羨ましかったし、その後2人が楽しそうに話して
いるのを聞くのがちょっと辛かった‥





『胡桃ちゃん、少しいい?』

試合が始まるまでの休憩時間に凛が胡桃を体育館から離れた校舎に連れて行くと、凛が深呼吸をしてから後ろにいた私の方へ振り向いた

何を言われるのかなんて想像はついてる‥‥

だから‥笑顔で答えないとな‥‥

『胡桃ちゃん、私‥泱が好き‥‥。勿論
 幼馴染みじゃなくて異性として‥‥。』

「うん‥」

『胡桃ちゃんにだけは伝えておきたかった。
 マネージャーをすると決めたのも、泱の
 そばに居たかったからなの‥。』

なんて答えれば凛が喜ぶかなんて分かってる‥

でも、これって私の本音なのかと問うと、真っ直ぐ生きてきた胡桃にとっては声を出すのがとても苦しく感じた

「‥‥うん‥凛の気持ち聞けて嬉しいよ。
 泱も凛も大切な友達だから。‥ありがとう」

応援してる‥‥

その言葉を今は凛に伝えられないけれど、胡桃は感情を押し殺して凛に笑顔でそう伝えると、
先に戻る事を伝えて体育館へ戻る前に手洗い場で顔を何度も洗った

苦しくて、切なくて、どうしようもない不安なのか久しぶりに涙が出たからだ

こんな顔‥見せたらまた心配させてしまう‥


『望月さん』

えっ?

咄嗟名前を呼ばれ、慌てて水道を止めて顔を上げると、更科マネージャーにタオルを渡された