三角屋根の下で 君と

背後の玄関扉がガチャガチャっと音を立てて
ドアを開けようとする音に思わず声をあげそうになった私を泱は自分の胸に押し付ける

『泱?』

凛!!!

体育館で泱を見つめる凛の眼差しに気付いた今、泱とこんな事になってる場面を絶対に見られたくない

幼馴染みであり、親友としてやって来たからこそ、胡桃は自分のせいで凛との関係が壊れるのを恐れているのだ

『大丈夫‥奥に隠れてて』

耳元で少しだけ低い声がそう囁くと、静かに頷いた私は靴を脱いでから部屋の奥へと移動する

何も悪い事はしていないのに隠れるなんて、それだけで凛に対して後ろめたい気持ちになりながらも部屋の片隅で膝を抱えて座った

ガチャ

『泱!何してたの?』

『ウトウトしてただけ。今から帰るよ。
 凛はどうしたの?忘れ物?』

『えっ?ううん‥‥あのね‥‥さっき言い忘れ
 たことがあって‥‥。前、泱に渡した
 リストバンドを試合に付けてくれる?』

『ん‥いいよ。』

『本当!?嬉しい!お弁当の中身何がいいか
 教えて?』

バタンとドアが閉じられる音を部屋の奥で
聞き届けた胡桃は、一気に緊張感が緩み
部屋の壁にもたれた


やっぱり‥凛が好きな人は泱なんだ‥‥

あんなに嬉しそうな声は、顔を見なくても
胡桃にじゅうぶん伝わってしまった

泱にさっきまで抱き締められていた腕の感触に、小さい時の泱をふと思い出す

ハーフというだけで虐められていた弱々しい少女のようだった泱が、いつの間にか私を簡単に閉じ込められる程体も大きくなってしまったんだなと‥‥

いつまでもずっと同じじゃ居られない‥‥

胡桃は今日改めて様々な感情が自分に起こった事を受け止め切れず思い悩んだ