三角屋根の下で 君と

「‥周りちゃんと見えてるかな‥‥。」

『どうかした?』

頭に置かれたままの手がゆっくりと滑り落ちるのと同時に、背後から誰かに思いっきり引っ張られ倒れそうになる

『胡桃、帰るよ。』

「えっ!?泱!ちょっと何!?」

後ろから胡桃の体に巻き付くように抱き付く泱の腕の力がグッと込められ、慌てて離れようとするものの力が敵わない

悠人も突然のことで驚きつつも、泱が自分に向ける冷たい視線に気付くとニヤリと笑みが溢れてしまう

『望月さん‥また来週。』

「うん!じゃあね!」

悠人が去り際に私の肩を軽く叩いてから去ると、今の状況にハッとし、改めてその腕からなんとか体を捩って抜け出し、文句を言おうと
したが、ビブスを干し終えた凛の姿が見えたのでグッと堪える

「もうこういうことは辞めてよ‥周りに勘違い
 されても困るから。さ、帰るよ。」

『胡桃!』

泱の手を振り払うと、振り返ることなく凛の元へ向かい一緒に更衣室へと向かった。


「凛、ごめん!私寄るとかあるからさ、今日は
 泱と帰ってくれる?」

『えっ?うん‥それは大丈夫だけど。』

「じゃあ私先に帰るね、バイバイ!」

急いで制服に着替えると、部室を飛び出し勢いよく走りながらも、先ほどまで抱き締められていた泱の腕の中の温もりを思い出し、顔が一気に熱くなる

なんであんな事をいきなりしたんだろう?

悠人と普通に話してただけなのに、いつもより
低い声まで出してさ‥‥

なんとなく今、泱と凛と居たくなくて、何も考えず学校の校門を潜り抜けると、家とは反対方向に目的もなく胡桃は走った

---------------------------------------------

『泱、お待たせ。帰ろうか。』

『胡桃は?』

下駄箱でいつものように待っていてくれる泱に凛が駆け寄ると、泱の視線が後ろの方や周りに
向けられる

『胡桃は先に帰ったよ。用事があるって‥』