三角屋根の下で 君と

胡桃は最近この逞しさを柔らげるために、体づくりにを全くしなくなっていたが、更科先輩の話を聞いて体力勝負だと感じていた

『凛は体弱いから無理はしちゃダメだよ。』

『うん、でもストレッチとか少しの筋トレ
 なら平気。』

「泱!凛はって何よ。私だってか弱いとこ
 あるよ?」

空手やバレーボールをやってただけでなく、
普段から男子に混じってドッヂボールや
木登りだってやってきた胡桃なだけに、
泱の中では逞しくて強い子だと思われて
いると思った

泱との出会いだって虐められていたところを助けたしね‥‥なんだか懐かしいや‥‥

『胡桃は別のところで普段から無理しがち
 だから頑張りすぎるなよ。』

『別のところって何?』

凛は泱が胡桃を見つめるその表情に焦り、
泱の服の袖を引っ張り視線を自分に向けた

『胡桃は‥‥自分よりもいつも周りを気にして
 自分のことは後回しにするからさ‥‥。』

『そ‥そうなんだ‥。』

「お気遣いどうも。さてと、私は明日に備えて
 先に帰るよ。それじゃあおやすみ!」

明日からのワクワク感に胸を躍らせる胡桃が元気よく三角屋根の部屋を出ていくと、泱は
その後ろ姿を見送り呆れたように笑った

『あ、あのね、泱に渡したい物があるの。
 ‥これなんだけど‥‥』

鞄から取り出した手のひらサイズの袋を
凛は泱に差し出すと、勉強を終えようと
していた泱が手を止めた

『俺に?』

『う、うん‥‥』

泱は受け取るか少しだけ迷ったが、凛が手を引っ込めないことをそのままにも出来ず、仕方なくそれを受け取って袋のテープを丁寧に剥がした

『‥‥リストバンド?』

袋の中身は、泱がよく好んで着る紺色のTシャツによく似合いそうな同系色のリストバンドで、
スポーツブランドのマークが刺繍されている