色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 まばたきを2回する。
 太陽様は、袖で額の汗をぬぐった。
「オーロラ姫が倒れまして。すいません。すぐに戻らないと」
 声が出ない。
 代わりにバニラが「まあ!」と感嘆の声をあげた。

 足の力が抜ける。
 無理にふんばる。
 この人は、一体何を言っているのか。
「セシルさん?」
「……」
 黙って、太陽様を睨んだ。

 りすのような大きな目に。
 濃い隈。
 ずっと着ているのか、くたびれている制服をぼんやりと見つめた。
 そして。
 太陽様の言っていることが理解できると。
 手を拳にして。
 思いっきり、テーブルに叩きつけた。

 ばんっ! という音が部屋に響く。
「どうぞ、太陽様。オーロラ姫のところへ行ってください」
 精一杯の笑顔で言ったつもりが。
 顔がひきつる。
 ものに当たるのは、駄目だってわかってるけど。
 もう、この感情は止められない。

 太陽様は驚いて、私の顔を凝視したけど。
「すんません。用事が済んだら、すぐに戻ります!」
 と大声で走っていってしまった。

 私は舌打ちすると。
 太陽様の背中めがけて叫んだ。

「太陽様なんて、だいっきらい!!」