色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 ずっと。
 認めたくなかった。
 オーロラ姫に嫉妬しているということを。
 あの人は、長くは生きられない。
 身体が弱く、祖国でも辛い思いをして生きてきたというのに。
 家族に邪魔者扱いをされ。
 死に場所として、この国にやって来た。

 16歳だけど、病気のせいで。
 彼女はおばあさんのような見た目だ。
 置かれた境遇を嘆くこともなく、怒ることもなく。
 オーロラ姫は静かに死を受け入れ。
 笑顔で生きていこうと。
 毎日を必死に生きている。

 …なーんて美談、私には通用するかってえの!

 オーロラ姫の境遇を聴いた国家騎士は、涙に溺れ。
 オーロラ姫のためなら、なんでもしようと躍起になっている。
 もともと、自身が酷い環境で生活してきたバニラは。
 オーロラ姫のことを考えると、いてもたってもいられず。
 時間さえあれば、オーロラ姫のところへ通っている。

 スズメと太陽様は、上司に命令されてオーロラ姫の側にいるようだけど。
 …気にくわない。
 私が一番だったはずなのに。
「こんなにご馳走作ってくれたの?」
 誕生日当日。
 テーブルの上には色とりどりの料理が並んだ。
 ぶっちゃけ、オーロラ姫がいるから。
 簡単な料理しか出てこないだろうなと思っていたら。
 バニラは時間をかけて。
 ビーフシチューや手作りのケーキを作ってくれた。

「勿論ですわ。今年はみんなでお祝いしましょう」
 バニラはにっこりと笑う。
 みんな・・・という言葉は。
 胸をちくりと痛ませる。

「すんません、遅くなりました」
 玄関から走ってやってきた、太陽様にほっと胸をなでおろした。