色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 ちらっと、トペニがこっちを見た。
 これ以上、どうして? と訊くのも。
 なんだか失礼な気がして、黙ってしまう。
「それにしても。太陽様っていうのは凄い方ですね」
 急に話題を変えるので、なんで太陽様の話題なんだろうと思ってしまう。

「あんな凄い人、久しぶりに見たっすよ」
「…私。あんまり太陽様のこと知らないわ」
 また、口から零れ出たネガティブな発言に。
 トペニはピクッと眉毛を吊り上げた。
 なんで、怒るんだろう?
「私は、太陽様がピアノを弾けるだなんて知らなかった。何も、知らない」
 ため息混じりに言って。
 胸の中の不安要素に気づいた。

 太陽様がピアノを弾けるというのをオーロラ姫から聴いた時。
 心の底から傷ついた。
 太陽様のお母様は早くに病気で亡くなってしまったそうだけど。
 ピアノが得意だったそうだ。
 母の姿を見て、太陽様の妹であるイチゴはピアニストを目指していた。
そこまでは知っていた。

 太陽様も、お母様からピアノを習っていて。
 家族の思い出の曲がある。

 そんなの初耳だった。
 自分が姿を変えられて、エアー夫人として生きていたとき。
 太陽様に好意をもたれていたけど。
 その時は、太陽様のこと。
 ウザくて仕方なかった。

 なのに。
 なんで、今になって。
 こんな感情になるんだろう。
 一つ一つに落ち込むんだろう。
「これから、知っていけばいいじゃないっすか」
 トペニの言葉に我に返る。
「太陽様なら、大丈夫っすよ」
「何それ」
 思わず苦笑いしてしまった。