色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

「仕事は一日中働く必要はないって、言われたんで。まあ…数時間ですけど休みをもらいました」
 考えてみれば、この家は太陽様の家でもあるというのに。
 なんでいるんだ…と失礼なことを言ってしまったことに気づいた。
 
「いただきます」
 混乱する中で。
 バニラの作ってくれた野菜スープが身体に染みわたる。
「太陽様、お休みというのは希望を出せば、休めるものなのですか?」
 トレイを持ったまま、バニラが言った。
「え? ああ、休めると思いますよ」
 太陽様は「どうして?」というわかりやすい表情を見せる。
「まあ! では、来週の日曜日にお休みをいただきたいのです。数時間で良いので」
「え、なんかあるんすか?」
 来週?
 首を傾げ考える。
「昨年は太陽様がお仕事でいらっしゃらなかったので、わたくし一人でお祝いしたのですが。やはり太陽様がいらっしゃらないと」
「あっ!!」
 思わず大声を出して、慌てて口元を手で隠した。
「お祝い? もしかして、バニラさんの誕生日っすか」
 太陽様が大きな目をきょろきょろとさせながら言った。
 …言った瞬間。
 バニラは人間の動きとは思えない速度で。
 太陽様に近寄った(妖精ってバレちまうよ・・・)
「冗談でも、そのようなことを言ってはなりません」
「いやいやいや。バニラ―、太陽様知らないんだよー」
 思わず、心の声が漏れる。

 バニラは怖い顔をしたまま。「太陽様、ちょっと」と言って。
 太陽様を台所の方へ連れ出して行った。
 やがて、「まじっすかー!」という太陽様の叫びが聞こえた。