色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 でかけましょうと言われ。
 出来れば地味な格好で動きやすい服装がいいっすねという。
 トペニのリクエストを受けて。
 私は無断で太陽様の服を借りて。
 髪の毛は黒いバンダナで巻いて隠した。

 家から徒歩圏内。
 聴こえてくるのは弦楽器だ。
 オーロラ姫の家の前には簡易的な舞台が出来ていた。
 その上には4人が座っていて。
 1人はオーロラ姫。あとの3人は見たことのない男性だ。
 だが、プロだというのは聞いていて、よくわかる。
「四重奏?」
 オーロラ姫はヴァイオリンを弾いている。
 あとの3人はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ。
 彼らが演奏をしていると。
 1人、また1人と騎士たちが集まっていく。
 野外コンサートになっている。
 私がピアノを弾いているときは、騎士の人間は隠れてピアノの音色を楽しんでいるというのに。
 目の前にいる騎士たちは堂々と観客として演奏を楽しんでいる。
「何コレ。国王は許可したの?」
 草むらから隠れて様子を見ているが。
 私とトペニには誰一人として気づいていない。
 それほど、騎士たちは演奏に夢中なのだ。
「多分、許可取ってるんじゃないっすか」
 と興味なさそうにトペニが言った。

 舞台の側にいるのはオーロラ姫の侍女と太陽様だ。
 太陽様の姿を見つけた瞬間、嫌な気持ちになった。
「帰ろうか」
 ため息しか出ない。

 のろのろと足取りは重い。
 オーロラ姫が来てからというものの、ずーと心穏やかに暮らせていない。
 事情があるにせよ、オーロラ姫のどこが良いんだろう…