色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 馬車に乗り込んで、馬車が動き出したと同時に私は目の前に座るマリアちゃんを睨んだ。
「あの、単刀直入に聴きますけど」
「なんだ」
 距離が短いので、急いで言わなきゃいけない。
「太陽様とマリアちゃん…マリア様たちだったら、どちらが階級が上ですか?」
「はあ?」
 低い声で、マリアちゃんが言った。
 ちっと舌打ちすれば、横を向いて「はああ」とため息をついた。

「そんなの太陽だろ」
「じゃあ、なんで。オーロラ姫の護衛なんです?」
 勢いよくマリアちゃんの顔に近づく。
 マリアちゃんは下瞼をピクピク痙攣させて、「近い!」と声を荒らげる。
「あのな。騎士ってのは、戦うだけが仕事じゃねえんだよ。太陽は国王のお気に入りだから、イロイロやっているんだろうが」
「だからって。護衛? なんで護衛? 意味わからない」
 本当に意味がわからないと横にいるバニラに意見を求めようとしたら。
 バニラの顔が真っ青だった。
「バニラ? 具合悪いの?」
「…ごめんなさい。少し休めば大丈夫です」
 小さな声でバニラが言った。
「あんたはちょっと働きすぎじゃねえか? 侍女の仕事も適度にやれ。休んでも治らないようだったら、医者を呼ぶから遠慮するな」
 私には塩対応な癖に。
 マリアちゃんはバニラに甘い。
 ぷくうと頬を膨らませる。