色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 馬車に乗ったのは、たった5分ほど。
 カーテンで窓の外は見れなかった。
 だが、前回とは違う場所だというのは距離的にわかった。
「あら、こちらは同じ村内なのでは?」
 馬車から降りたバニラが真っ先に気づいた。
 だだっ広い土地に、ぽつんとある一軒家。
 ボロくはないけど、デザインから見るにもしや棟梁が作った家なのではと。
 チラッとジョイさんを見る。
 棟梁というのは、貴族御用達(?)の大工さんで。
 ご本人自身も貴族であるというおじいさんである。
 可愛い女の子が大好きで、王家の圧力なんていうものを一切無視して。
 私を助けてくれた人だ。
「この村は、ほとんど棟梁の家ばかりだなあ~」
 と私の考えを読み取ったのかジョイさんが言った。

「あれ、でもオーロラ姫に会うんだよね?」
「…まあな」
 低い声でマリアちゃんが言うと、マリアちゃんはちらっとバニラを見た。
「お願いだから、本人の前で泣くなよ」
「えー。何、マリアちゃん。バニラちゃんと密談?」
 マリアちゃんを茶化すジョイさんにバニラは黙ってニコニコするだけ。