色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 気づけば、馬車の中にいて。
 ぐずぐずと鼻水をすする音がするなと思ったら。
 隣に座っていたバニラが号泣していた。
「泣くくらい可哀想か?」
 気まずそうに、マリアちゃんがバニラに話しかける。

 バニラが泣いているのを。
 初めて見た。
 赤い瞳から零れ出る涙は止まることを知らない。
 ハンカチでふき取るが、溢れ出ている。
「申し訳ありません。我慢していましたが、無理です。だって、あんな…酷い仕打ちありますか」
「酷い仕打ち?」
 今日は一段と話を理解することが出来ない。
「余命わずかな中、自国で亡くなることを許されず、見知らぬ場所で…あんまりです」
「え!? 何? 厄介払いされて来たってこと!?」
「太陽夫人。声が大きい」
 マリアちゃんに注意されて「ごめんなさい」と即座に謝る。

「すべての国が豊かだとは限らないからな」
 マリアちゃんはイライラしながら言った言葉があまりにも重くて。
 でも、泣くほどかなと再びバニラを見てしまった。