色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 てっきり海外に行ってしまったかとばかり思っていた太陽様が立っている。
 太陽様は私を見ると、
「うぉ!? どうしたんです」
 と飛び跳ねた。
 オーロラ姫は、うふふふと笑った。
「私がお呼びしたのよ」
「え? どういういきさつで?」
 相手は姫君だというのに、緊張感なしで太陽様が言い放った。
「マヒル様。わたくしの護衛として太陽様をお借りしておりますの」
「ごえい?」
 意味がわからず、太陽様を見る。
 だが、太陽様もよくわかっていないのか、きょとんとしている。
「わたくし、自国から連れてこれたのはこの侍女1人と護衛1人だけでしたから。この国の騎士たちの力を貸していただいておりますの」
 今、気づいたが。
 オーロラ姫の声は見た目に反して若い。
 活舌の良い綺麗な声だ。
「うふふふ。太陽様が既婚者とお聞きしまして。噂の奥様の話を聴いているうちに一目会いたいと願ってしまったがゆえに、わざわざお越しいただきましたの」
「はい…そうなんですね」
 そうなんですねとしか、言葉が浮かばない。
 オーロラ姫は、大きな目でこっちを見た。
 灰色の瞳だった。
 目が合う。
 にこっと笑うと、「ゴホッ」といきなり咳き込んだ。

「お嬢様。そろそろ…」
 近くにいた侍女がオーロラ姫の背中をさする。
 オーロラ姫の身体が小刻みに震えている。
「申し訳ございませんが、お帰り願えますか」
 ぴしゃりと侍女に言われてしまった。