色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 内側から「どうぞ」という声が聴こえ。
 マリアちゃんがゆっくりと扉を開けた。
 目の前が白く光り輝いている。
 眩しさのあまり軽く目を細める。
 天蓋付きの白いベッドが目に入って。
 ベッドの前に車椅子に座る人影があった。
「太陽夫人をお連れしました」
 ジョイさんが言うと。
 すぐにマリアちゃんとジョイさんは部屋から出て行く。
 車椅子に座った女性は、50代に見えた。

 マリアちゃんの説明がなかったら、悲鳴をあげていたのかもしれない。
 やけに目の大きい人だ。
 頬は痩せこけ、額には皺がきざまれ。
 茶色い髪の毛にはぽつぽつと白髪が混ざっている。
 異常な身体の細さだが、ぴんと背筋を伸ばして座っている。
「はじめまして。オーロラと申します」
「……」
 黙り込んでしまう。
 後ろから、「マヒル様」とバニラに言われ我に返る。
「あ…どうも。マヒルと申します」
 慌てて、挨拶をする。
 オーロラと名乗るお姫様…年齢的にお姫様と言っていいのか?
 とにかく、オーロラ姫はにこっと笑うと。
 近くにいた侍女に小声で何か言った。
 侍女はすぐにどこかへと走っていく。
 そして、すぐに誰かを連れてきた。

「何かありましたか、オーロラ様」

 見覚えのある騎士に「なんで?」とあんぐりと口を開けてしまった。