色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 大急ぎで身支度を終えて。
 馬車に乗り込んだと同時に、馬車が動き出した。
 御者席にはジョイさんとスズメが座っていて。
 私の隣にはバニラ。
 そして私の目の前には、仏頂面のマリアちゃんが座っている。
 マリアちゃんは名前も女性ぽいし、見た目もとても綺麗な顔立ちをしている。
 騎士にしては、細い方なのかもしれないけど。
 血管の浮いた手や身に着けている剣を見ると、やっぱり騎士なんだなと思ってしまう。
「今回、太陽夫人に会ってもらうのは国王の親戚だ」
 イライラしながらマリアちゃんが言った。
「国王の親戚?」
「ああ。太陽夫人は前王妃の親戚だったな。今回会ってもらうのは、国王の祖母…おばあ様の親戚だそうだ」
 ローズ様の祖母…というと。
 最早、どなたなのか想像がつかない。
「国王のおばあさまというと、他国の方でございますか?」
 私が頭の中が宇宙空間の間。
 バニラが真っ先に質問した。
「ああ。そうだ。国名は言えないが海外の姫君だ」
「まあ! そうなんですわね」
 何故かバニラは嬉しそうな表情を浮かべる。
 この子は本当に人が好きなのだ。

 馬車はぐいっと右側に曲がると。
 一旦、止まってまた進んで行く。
「でだな」
 ごほんと咳をして、マリアちゃんがこっちを見る。
「予め言っておくが、その姫君を見ても驚かないでいただきたい」
「どういう意味?」
 はあ…とマリアちゃんが深くため息をついた。
「言葉悪いが…病人なんだ」