恋愛はめんどくさい!(番外編)星川翔太


 その日の夕方、僕は思い切って美容院に予約の電話をかけた。
 最初はかなり躊躇したが、応対の人は親切で、思っていたよりはずっと気が楽だった。
 運よく週末に空きがあり、そのまま予約を入れた。

 当日は美容師さんに「どうしますか?」と聞かれて上手く説明できず、結局「似合いそうな感じにしますね」ということになった。
 要するに、ほとんどお任せということだ。

 仕上がった後、自分の姿を鏡で見た。

 意外だった。

(あれ? なんか……悪くない、かも?)

 もちろん、いきなり劇的に変わったわけではないが、確かに「いい感じ」にはなっているように思えた。


 週明け、学校に行くと、岩本がニヤニヤしながら近づいてきた。

「どうよ? 自分でも分かるだろ?」

「……まあ、少しは」

「少しとか言うなよ。やっぱマジでかっこいいよな、お前」

「……ちょっと、やめろよ」

 とは言ったものの、そんな台詞をサラッと言ってくれたことは、とても嬉しかった。


 そこから僕は少しずつ変わっていったような気がする。見た目というよりは、気持ちというか、精神的な意味で……

 表情や姿勢は、特に意識するようになった。鏡の前で笑顔の練習をしたり、姿勢を直したりもした。
 服装は、どうしたらいいかよく分からなかったので、マイナスとならないように意識した。地味でもシンプルな方が、自分には合っているように思えた。

 変わっていく自分が目に見えてわかると、今までどれだけ手を抜いていたのかがよく理解できた。


 ――そして、二年生になった。