桜の奇跡❀廉side

それから、近くの公園でバイト終わりか、その前に話すことが多かった。


桜の花びらが舞って、俺の髪についた。

未桜にとってもらった。

それだけでも笑顔だった。

未桜がそばにいる、それだけで幸せだ。







公園で「今年はもう、花が散りかけているから、来年は満開の桜を見に行こう」
そう、約束した。
















初めて手を繋いだのは、花火大会だった。

人ごみで、離れ離れになりそうになった時だった。

「力強い……かも」
未桜にそう言われた。

必死すぎて、震えながら思わず力んでしまう。

「ごっ、ごめん」
って慌てて引いた。

柔らかくて温かくて、指も長くて綺麗な手だった。



しばらくして人ごみから離れた場所で、

「あっ!めっちゃ花火連続で綺麗!!」
そう言って、花火に気が向くようにして。

もう一度、さりげなく汗をふき取り、そっと手を繋いだ。

今度は力まないようにして。

心地よくて、ずっと触れていたかった。

ずっと隣にいたいと思った。

未桜はほんのり甘い香りがする。

いい匂いだ。

花火よりも、未桜に見惚れてた。

「浴衣綺麗だね」
と俺が言うと、未桜は照れたように俯いた。

「廉の浴衣もいつもより、大人っぽい」
そう言ってくれた。

未桜のふわっと束ねた髪も、花柄の浴衣姿も可愛いすぎて、写真や動画をたくさん撮った。








夏にはプールにも行って2人とも日焼けした。

未桜のフリルの水着姿は、可愛いかった。

思っていたよりもスタイルが良く、周りの人の視線を未桜は惹きつけていた。

複雑だった。

この頃から、だんだん胃の痛みや違和感、胸焼けを感じ始めていた。

市販の胃薬を服用していた。










カラオケへも良く行った。

未桜はYOASOBIを歌うことが多く、俺はミセスを選曲していた。





服や装飾品の買い物にも出かけた。

未桜は何を着ても似合う……つーか何を着ても可愛い!!

ニヤケながら可愛いとイイじゃん、ばっかり俺は言ってしまって。

結局未桜はどれが、似合うかどうかわからなくなっていた。

俺には、似合う似合わないを、未桜は結構はっきり言ってくれていた。

こっちの服のほうがカッコいい、とは言ってくれるけど。

俺自身をカッコいいとか、好きと言ってくれない。

俺が大好きだよ、と伝えても。