桜の奇跡❀廉side

未桜へのラインも電話も、減らしていった。


別れるってそういうことなんだ。


未桜が俺に笑いかけてくれる動画を見る度に、心が痛む。

俺が弱って死んでいく姿を見て、未桜に悲しんでほしくない。

未桜には笑顔でいて欲しい。





別れを告げなければ……そうしないといけない。







バイトが終わって、公園でいつも通り他愛もない話をした。

別れを切り出さなくちゃいけないんだけど、未桜にキスしようと近づいた。

その時に避けられた。

ショックだった。

当然なんだ、連絡も減って……未桜は俺が忙しいと思ってたみたいだけど。


「なんで……ってか別れよう。

なんか住んでる世界違う気がするし。

もう飽きた」

強い口調で一気に言い放った。

一生に一度の大きな嘘をついた。

そんなこと、思ってなんかない。

飽きるなんてない…でもそこまで言ったら、きっと俺から未桜は離れてくれる。
そう考えた。

「やだ……」
そう、未桜は言った。


涙がこぼれそうになる。
俺も別れたくないよ、未桜。

「もう無理」
それだけ言うと、俺は急いでその場を去った。


そうじゃないと、泣き崩れてしまいそうだったから。


溢れ出しそうな好きな気持ちを、閉じ込めるのに精いっぱいだった。

結局悲しませるんだ、俺は未桜を……。

幸せにしたかった。
笑顔にしたかった。

それからすぐに、俺は未桜と一緒のバイトを辞めた。


これでもう、未桜に会うこともなくなった。



けど、未桜は家に一度やってきた。

俺は居留守を使った。


本当は会いたい……でも気持ちを抑えるしかなかった。

2階の窓のすき間から、帰っていく未桜の後ろ姿を、見えなくなるまで見送った。

ラインも電話も無視するしかなかった。

そうしているうちに、連絡がこなくなった。

未桜を初めてデートに誘った時はあんなに、ワタの意見に流されてた俺だけど、今はもうあと少ししか生きられなくなり、流されにくくなった。

毎日のように、未桜が夢に出てくる。

幸せそうな顔をしていて安心した。

俺が幸せにしてあげたかった。