その日が、合図。

 今日、おかしいな。生徒会の集まりがあるはずなのに、東条くん、いなかったな。 

 普通科教室棟からの渡り廊下を歩きながら、私は考える。

 私、十六夜初香(いざよいはつか)

「初香ちゃん?」

 ふと声が聞こえて振り返る。

 紫色の髪が柔らかく揺れて、眠たそうな瞳が私を捉えた。

珠洲島(すずしま)くん、おはよう。図書委員の仕事は終わったの?」

「うん。あー、今日も寝ちゃったよ」

「ダメだよ、仕事中は起きてないと」

 珠洲島くんは図書委員。2年生の彼は私の同級生。最近は眠いみたいで、仕事中も寝てしまうらしい。でもその割に寝坊せず登校しているのがちょっとだけ意外だ。

「生徒会の朝都に見つからなくて良かったよー。ラッキーなことに今日、直月も見回り来なかったし」

 珠洲島くんは目をこすって歩き出した。