翌朝。
洗い立てのようなふわふわな毛布、シワ一つないシーツ。
そして私の好きなパステルカラーの
クッションに囲まれながら目を覚ました。
ふと横を見れば、私がよく読む雑誌や、
昔から好きなキャラのグッズが新品のビニールや箱に入ったまま置かれていて、
颯が用意してくれた部屋は、まるで「私専用の”展示部屋”」のようだった。
完璧に作られた部屋を抜け、リビングへ向かうと、
どこからか食欲をそそるガーリックの香りが漂ってきた。
「……なにしてるの?」
重たいまぶたを擦りながら、
キッチンに立つ背中に向かって聞く。
「ペペロンチーノだよ。昨日、食べたいって言ってただろ?」
「えっ、朝から!?」
朝の柔らかな日差しの中で、
颯が眩しいほどの笑顔で振り返った。
「美桜の“食べたい”は最優先事項だからな」
(ちょっと言っただけなのに……)
だけど、フライパンを振るその姿はどこか楽しそうだった。
その時、ふとテレビ横に置かれた古い写真が目に入る。
——泣きそうな顔の私が、少し困ったように笑う颯の服の裾をぎゅっと掴んでいる。
(この写真……まだ持ってたんだ)
泣き虫だった私を、
彼はいつだって守ってくれていた。
迷子になりそうになっては、
「離れるなよ」と必ず手を差し出してくれた。
その写真は日に焼けたように褪せていて、
ずっと置かれていたことがわかる。
(私がいない間も、ずっとここにあったのかな……)
そう思うと、自然と笑みが溢れた。

