闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜



テーブルの横に置いていたスマホに
通知が表示される。



『今年の夏はどうするの?お盆くらい帰ってくるでしょ?』



その連絡は、実家の母親からだった。



「どうした?」

「……ママが、お盆くらい帰ってきてって」

「そうなると思った。……だからその予定もちゃんと組んである。心配しなくて大丈夫だ」



(うそでしょ!?)



あまりの用意周到さに、言葉を詰まらせる。


颯が事前に組んだ予定表をスマホで確認すると、
確かにお盆期間だけが空白になっていた。



颯は驚く私をよそに、私の空のコップを見て、

「美桜、まだレモネード飲むだろ?ちょうど、おかわり作ろうと思ってたんだ」

と言ってキッチンへ向かった。




その背中は、いつもと変わりない
「王子様」の空気を(まと)っている。




けれど、彼が浮かべた爽やかな微笑みの裏で、
一体いつからこの計画を練っていたのだろう。


私の母親が連絡してくるタイミングさえも、
彼は計算に入れていたというのだろうか。





レモンのように爽やかな優しさと、

どろっと甘い執着心。





そのあまりにも
深いギャップに圧倒されながら、



私は、彼が差し出してきた、

二杯目の”甘すぎる”レモネードを口にした。



***