闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜



「だ、だって……」

「そんなに固まってたら、いい線が引けないだろ?」

「………」



(だってこれじゃ集中できないだもん……!!)



「……大丈夫。お前が俺の腕の中に収まっている時が、一番いいデザインができるんだよ。……俺が『お前らしさ』を教えてあげるから」



私のわずかに熱い指先に、颯の長い指が重なり、
滑らかに線を引いていく。



そういう間にも彼の心臓の音が、
背中越しにトク、トク、と伝わってくる。



全身を包むシトラスの香り。
視界には颯と重なる自分の手。


二人だけの静かな空間で、
レモネードに溶けていく氷が、カラン、と鳴った。




彼に自由を奪われているはずなのに、
この狭くて熱い『檻』の中にいる時が、


一番安全で居心地の良い場所に思えてしまう。




私はいつの間にか彼に体重を預け、
導かれるままにペンを動かしていた。



「すごい……! お兄ちゃん、魔法使いみたい」

「魔法じゃない。……お前のことは、お前以上に俺が知ってる。ただそれだけだよ」



その視線の熱に冒されるように、
冷房の効いた室内で、私の頬は火照っていった。



そんな時だった。