***
夏休み前、最後の授業が終わった夜。
文化祭実行委員のメンバーたちが、
少し早めの「決起会」と称して
ご飯に行こうと盛り上がっていた。
そんな中で私は一人、行くか迷っていた。
けど——。
「篠原さんも行くよね?」
「え、あ、私は……」
「行こ行こ!決起会なんだし!」
断る隙もなくみんなに押し切られる形で
行くことが決まってしまった。
私は恐る恐る颯とのチャットを開き、
『今日は打ち上げあるからご飯は大丈夫』と連絡を入れた。
(お兄ちゃん、怒るかな……。「断ればいい」とかやっぱり言うのかな……)
すぐにスマホに通知が来る。
『了解。たまには息抜きも必要だね。楽しんでおいで』
『ただ、あまり遅くならないように』
(えっ……。)
拍子抜けするほど、あっさりとした許し。
昨夜のあの激しい独占欲は
どこへ行ったのかと思うほど、
その「寛容さ」に少しだけ違和感を覚えた。
「篠原さんもこれ食べてみて。ここのマルゲリータ、すごい美味しいって評判だから」
「ありがとう……!」
それでもみんなで過ごす時間は、
軽やかで、自由で。
いつの間にかその違和感は
どこかに消えてしまっていた。
「……昨日、大丈夫だった?」
ピザを頬張る私の横で、
碧くんがコーラを飲みながらどこか気まずそうに聞く。
「うん。……昨日は、本当にお兄ちゃんがごめんね」
「いや、いいよ。……それより、あの後何か言われたりしてない?普通に心配なんだけど」
花火の打ち上がる音。神社。颯の言葉。
それらが一瞬で脳裏に浮かび、
噛まれた部分が、
より濃く思い出させるように熱を帯びる。
私は耳元を隠すように髪に触れ、
「大丈夫だよ」と笑って誤魔化した。
***
みんなとお喋りをして、笑って、
文化祭の成功を誓い合う夜。
決起会が終わる頃には、22時を回っていた。
(まずい……20時には帰ろうと思ってたのにこんなに時間が経ってたなんて……)
けれどスマホを確認しても、
あれから颯からの連絡はない。
心配性の彼なら、何件も連絡を
入れてきてもおかしくないはずなのに。
(……やっぱり、怒ってるのかな)
会計を済ませ、お店を出るその時。
「……美桜ちゃん、俺、送っていくよ」
碧くんが背後から言った。
夏休み前、最後の授業が終わった夜。
文化祭実行委員のメンバーたちが、
少し早めの「決起会」と称して
ご飯に行こうと盛り上がっていた。
そんな中で私は一人、行くか迷っていた。
けど——。
「篠原さんも行くよね?」
「え、あ、私は……」
「行こ行こ!決起会なんだし!」
断る隙もなくみんなに押し切られる形で
行くことが決まってしまった。
私は恐る恐る颯とのチャットを開き、
『今日は打ち上げあるからご飯は大丈夫』と連絡を入れた。
(お兄ちゃん、怒るかな……。「断ればいい」とかやっぱり言うのかな……)
すぐにスマホに通知が来る。
『了解。たまには息抜きも必要だね。楽しんでおいで』
『ただ、あまり遅くならないように』
(えっ……。)
拍子抜けするほど、あっさりとした許し。
昨夜のあの激しい独占欲は
どこへ行ったのかと思うほど、
その「寛容さ」に少しだけ違和感を覚えた。
「篠原さんもこれ食べてみて。ここのマルゲリータ、すごい美味しいって評判だから」
「ありがとう……!」
それでもみんなで過ごす時間は、
軽やかで、自由で。
いつの間にかその違和感は
どこかに消えてしまっていた。
「……昨日、大丈夫だった?」
ピザを頬張る私の横で、
碧くんがコーラを飲みながらどこか気まずそうに聞く。
「うん。……昨日は、本当にお兄ちゃんがごめんね」
「いや、いいよ。……それより、あの後何か言われたりしてない?普通に心配なんだけど」
花火の打ち上がる音。神社。颯の言葉。
それらが一瞬で脳裏に浮かび、
噛まれた部分が、
より濃く思い出させるように熱を帯びる。
私は耳元を隠すように髪に触れ、
「大丈夫だよ」と笑って誤魔化した。
***
みんなとお喋りをして、笑って、
文化祭の成功を誓い合う夜。
決起会が終わる頃には、22時を回っていた。
(まずい……20時には帰ろうと思ってたのにこんなに時間が経ってたなんて……)
けれどスマホを確認しても、
あれから颯からの連絡はない。
心配性の彼なら、何件も連絡を
入れてきてもおかしくないはずなのに。
(……やっぱり、怒ってるのかな)
会計を済ませ、お店を出るその時。
「……美桜ちゃん、俺、送っていくよ」
碧くんが背後から言った。

