梅雨が明け、ジリジリと日差しが
照りつける季節がやってきた。
大学のキャンパスは、
サンダルやノースリーブといった
涼しげな格好をした女子が多く目立っている。
「あつい……」
登校前。
汗でまとわりつく髪を一つにまとめ、
私もクローゼットの奥から去年買った
お気に入りのワンピースを引っ張り出した。
オフショルダーの、肩が出るデザイン。
少し勇気はいるけど、
今日は碧くんと文化祭に向けた打ち合わせがあるから、
ちょっとだけお洒落したかった。
支度を終えて玄関を出ると、
隣の201号室からちょうど颯が出てきた。
「タイミングばっちりだな。今日は一段と——」
言葉が途中で止まった。
同時に彼の視線が、私の肩と鎖骨に固定される。
「……美桜。それで行くのか?」
颯が眉間に深いシワを作り、
わずかに下がる声で言った。
「うん、夏だし。可愛いでしょ?」
「……露出が多すぎる。日焼けもするし、着替えてきた方がいい」
「そんなに変かな……?」
「変じゃない。……綺麗すぎて、心配なんだよ」
その瞳は、いつもの優しい
お兄ちゃんのものじゃなくて、
熱を帯びた「男」のそれだった。
「でも……もう時間ないし」
ドアの前で戸惑う私を見兼ねて、
颯はため息をつきながら自分の部屋に戻った。
数分して薄手のカーディガンを持ってくると、
私の肩を覆うように羽織らせた。
「外では絶対に脱ぐなよ。いいな?」
(……私のこと、そんなに見せたくないのかな?)
その過保護さが、少しだけ嬉しくもあって、
胸の奥がくすぐったくなる。
私は「はーい」と軽く返事をして、
彼の香りが残るカーディガンを少しだけ引き寄せた。

