***
その日の夜。
「お祝いに、俺の部屋で夕飯食べよう」
颯が夕飯を振る舞ってくれることになった。
隣り合う201号室と202号室。
颯の部屋——201号室のドアを開けると、
そこには……
男子大学生の一人暮らしとは思えないほど、
完璧に整頓された空間が広がっていた。
「……わあ、相変わらず綺麗だね」
「そうか?」
家具はミリ単位で計算されているかのように正確な配置。
埃ひとつ落ちてない生活感を感じさせない部屋は、
なんだかモデルルームを見ているみたいだった。
部屋を見渡していると、テーブルに
私が大好きなオムライスが置かれた。
「わぁ、美味しそう!お兄ちゃん本当に料理上手だね」
颯がふっと嬉しそうに目を細める。
「一人暮らしだと、どうしても食生活が偏るだろ? だから、これからは美桜の健康管理も含めて俺が作ってあげるから、ご飯の時は一緒に食べよう」
「えー、でも毎食は大変だし……お昼は、外食もするだろうから自分でどうにかするよ」
「なら、朝と夜な。友達と食べる時は連絡忘れるないように。いいな?」
そう言って颯は、私に丁寧にサラダを取り分けてくれた。
彼はその後も甲斐甲斐しく
私の世話を焼いてくれるけど、
自分はほとんど手をつけず、
私が食べている姿を微笑みながらじっと見ている。
「どうしたの……?食べないの?」
「いや、やっぱりお前の嬉しそうな顔見てるのが一番だなって思って」
私を見つめるその澄んだ瞳に時々吸い込まれそうになる。
頬が少しだけ熱くなるのを感じて、私は笑いながら視線を逸らした。
(なんでこんなに料理もできて、優しくて面倒見もいいのに、彼女いないんだろう……)
目の前の食べかけのオムライスを見ながら、
ふとした疑問が浮かぶ。
さっきもマンションの前で
女子高生に声をかけられていたのに、笑って軽く流していたし、
ちらっと見えたスマホには何件もの通知が来ていたのに、
颯はずっと無視している。
けれどその疑念は、顔を上げた先にある笑顔に、
すぐに洗い流されてしまった。
その日の夜。
「お祝いに、俺の部屋で夕飯食べよう」
颯が夕飯を振る舞ってくれることになった。
隣り合う201号室と202号室。
颯の部屋——201号室のドアを開けると、
そこには……
男子大学生の一人暮らしとは思えないほど、
完璧に整頓された空間が広がっていた。
「……わあ、相変わらず綺麗だね」
「そうか?」
家具はミリ単位で計算されているかのように正確な配置。
埃ひとつ落ちてない生活感を感じさせない部屋は、
なんだかモデルルームを見ているみたいだった。
部屋を見渡していると、テーブルに
私が大好きなオムライスが置かれた。
「わぁ、美味しそう!お兄ちゃん本当に料理上手だね」
颯がふっと嬉しそうに目を細める。
「一人暮らしだと、どうしても食生活が偏るだろ? だから、これからは美桜の健康管理も含めて俺が作ってあげるから、ご飯の時は一緒に食べよう」
「えー、でも毎食は大変だし……お昼は、外食もするだろうから自分でどうにかするよ」
「なら、朝と夜な。友達と食べる時は連絡忘れるないように。いいな?」
そう言って颯は、私に丁寧にサラダを取り分けてくれた。
彼はその後も甲斐甲斐しく
私の世話を焼いてくれるけど、
自分はほとんど手をつけず、
私が食べている姿を微笑みながらじっと見ている。
「どうしたの……?食べないの?」
「いや、やっぱりお前の嬉しそうな顔見てるのが一番だなって思って」
私を見つめるその澄んだ瞳に時々吸い込まれそうになる。
頬が少しだけ熱くなるのを感じて、私は笑いながら視線を逸らした。
(なんでこんなに料理もできて、優しくて面倒見もいいのに、彼女いないんだろう……)
目の前の食べかけのオムライスを見ながら、
ふとした疑問が浮かぶ。
さっきもマンションの前で
女子高生に声をかけられていたのに、笑って軽く流していたし、
ちらっと見えたスマホには何件もの通知が来ていたのに、
颯はずっと無視している。
けれどその疑念は、顔を上げた先にある笑顔に、
すぐに洗い流されてしまった。

