——お兄ちゃんのこと、本当は大好きだよ。
その一言で、キッチンで丸まっていた颯は
ようやく立ち上がった。
(……私がいないと、この人は本当にダメになっちゃうんだ。こんな姿、今まで知らなかった……)
「お兄ちゃん、今日は私が作るよ。だからちょっと、ここで待ってて……!」
私はフライパンの焦げた”何か”を片付けると、
自分の部屋——202号室に戻り、急いで支度を始めた。
颯のように手の込んだ料理はできない。
それでも自分なりに頑張って作った。
「よしっ」
数時間後。
なんとか完成し、颯を私の部屋に呼んだ。
「ここに座って」
彼を座らせて、テーブルの上に
手作りのスープとポテトサラダ、オードブルを並べる。
「これ、俺のために……?」
「決まってるでしょ。お兄ちゃんの誕生日だもん!」
颯は嬉しそうに、だけどどこか照れくさそうに笑った。
私が「食べてみて!」と促すと、
彼はスプーンを手に取り、スープを一口、ゆっくりと口に運んだ。
「どう?」
「……美味しい」
颯から笑みがこぼれるのを見て、
肩の力が一気に抜ける。
「良かった〜」
「怪我してないか?火傷は?」
「大袈裟だよ……!大丈夫だから、いっぱい食べて」
そう言うと彼は本当に、
私の料理をあっという間に完食してしまった。

