***
颯がリビングに立った瞬間、視線が一気に集まる。
それまで騒がしかった空気が静まり返った。
「俺も混ぜてもらってもいいかな?」
颯は、誰がいるかを確認するように
一瞬だけ部屋の中を見渡すと、
完璧な「王子様スマイル」を向けた。
「えっ、やば!佐伯先輩じゃん!」
「うそ、本物!?」
一斉にざわめき出す。
颯は圧倒的な「月光」のような美しさと威圧感で、
碧くんの「太陽の光」を一瞬で飲み込んでいく。
彼はさりげなく私の隣を陣取ると、
反対側に座る碧くんをじっと見据えた。
「”上城くん”だったかな。……ガイダンス以来だね」
「はい。……佐伯先輩、今日も美桜ちゃんの面倒っぷり、良いですね」
碧くんが少し挑発的に笑うと、颯の眉がピクリと動いた。
笑顔なのに、二人の間に流れる空気は重い。
視線だけで火花が散りそうな、
短い沈黙が走った。
(まずい、焦げる……! たこ焼き焦げちゃうよ!)
「上城くんこそ、最近ずいぶん美桜と親しくしてくれているみたいだね。……何か、特別な理由でもあるのかな?」
「”理由”ですか? 単純に楽しいからじゃ、ダメですか?……それとも、兄妹仲が良いと『友達』ができるのは困るんですか?」
しかし今の二人に話しかけられる雰囲気はない。
私はただ、その”熱い”空気の中で、
目の前の焦げそうなたこ焼きをじっと見つめていた。
「心配なんだよね。美桜に付き纏う、君みたいな悪いむ——」
「あーーーっ!」
思わず私は颯の口を手で塞いだ。
(絶対ろくでもないこと言おうとしてる……!!)
その瞬間、私の手の中で、
颯の口が不敵に吊り上がった気がした。
「わ、 私! 早くたこ焼き食べたいな……!」
私は強引に話を逸らす。
「……そうか。なら、俺が一番いいやつを焼いてやる」
すると颯は慣れた手つきで竹串を動かしていく。
その仕草一つ一つが優雅で、もはやタコパが高級レストランのようだ。
「すげー」
「私も佐伯先輩が焼いたの食べたーい!」
彼は碧くんを完全に無視するのではなく、
あえて”完璧なもてなし”で圧倒しようとしているみたいに見えた。
「ぐ、具材もっと持ってくる!」
立ち上がり、キッチンに向かおうとした瞬間——
「わっ……!」
たこ焼き器のケーブルに足を引っかけ、視界が揺れる。
颯がリビングに立った瞬間、視線が一気に集まる。
それまで騒がしかった空気が静まり返った。
「俺も混ぜてもらってもいいかな?」
颯は、誰がいるかを確認するように
一瞬だけ部屋の中を見渡すと、
完璧な「王子様スマイル」を向けた。
「えっ、やば!佐伯先輩じゃん!」
「うそ、本物!?」
一斉にざわめき出す。
颯は圧倒的な「月光」のような美しさと威圧感で、
碧くんの「太陽の光」を一瞬で飲み込んでいく。
彼はさりげなく私の隣を陣取ると、
反対側に座る碧くんをじっと見据えた。
「”上城くん”だったかな。……ガイダンス以来だね」
「はい。……佐伯先輩、今日も美桜ちゃんの面倒っぷり、良いですね」
碧くんが少し挑発的に笑うと、颯の眉がピクリと動いた。
笑顔なのに、二人の間に流れる空気は重い。
視線だけで火花が散りそうな、
短い沈黙が走った。
(まずい、焦げる……! たこ焼き焦げちゃうよ!)
「上城くんこそ、最近ずいぶん美桜と親しくしてくれているみたいだね。……何か、特別な理由でもあるのかな?」
「”理由”ですか? 単純に楽しいからじゃ、ダメですか?……それとも、兄妹仲が良いと『友達』ができるのは困るんですか?」
しかし今の二人に話しかけられる雰囲気はない。
私はただ、その”熱い”空気の中で、
目の前の焦げそうなたこ焼きをじっと見つめていた。
「心配なんだよね。美桜に付き纏う、君みたいな悪いむ——」
「あーーーっ!」
思わず私は颯の口を手で塞いだ。
(絶対ろくでもないこと言おうとしてる……!!)
その瞬間、私の手の中で、
颯の口が不敵に吊り上がった気がした。
「わ、 私! 早くたこ焼き食べたいな……!」
私は強引に話を逸らす。
「……そうか。なら、俺が一番いいやつを焼いてやる」
すると颯は慣れた手つきで竹串を動かしていく。
その仕草一つ一つが優雅で、もはやタコパが高級レストランのようだ。
「すげー」
「私も佐伯先輩が焼いたの食べたーい!」
彼は碧くんを完全に無視するのではなく、
あえて”完璧なもてなし”で圧倒しようとしているみたいに見えた。
「ぐ、具材もっと持ってくる!」
立ち上がり、キッチンに向かおうとした瞬間——
「わっ……!」
たこ焼き器のケーブルに足を引っかけ、視界が揺れる。

