***
——夜。
私の部屋は、明るいムードと熱気に包まれていた。
その中心にいるのは、もちろん碧くん。
「あ、美桜ちゃん、そっちの生地! こうやって外側からやって……」
「わ、意外と難しい……こう!?」
何度かひっくり返そうとするも、上手く回らない。
苦戦する私を見て、碧くんはくすっと笑った。
「貸してみ。ほら、こうやって」
碧くんが私の後ろから手を伸ばし、
私の持っていた竹串に手を添えた。
近づいた時にふわりと香った、
颯とは違う甘い香水の匂いに、
思わず心臓がドキッと鳴る。
「碧、ずいぶん篠原さんには優しいじゃん」
「あ、バレたか」
向かい側の男子からの冷やかしに、
碧くんはウィンクを返す。
そのチャラいけれど嫌味のないノリに、
場が一気に盛り上がっていた。
(颯といる、二人だけの静かな時間も好きだけど……こういうみんなで盛り上がる時間も楽しいな)
なんて、少しだけ浮足立っていた時だった。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
「……やば!」
気づいた瞬間、心臓が止まりそうになる。
玄関に走りドアを開けると、そこには案の定——
にこにこの満面の笑みで立つ颯がいた。
「美桜、晩飯でき——」
言葉が途切れ、颯の視線が私の後方へと回る。
「……お楽しみの最中だったかな?」
穏やかなのに、スッと温度の下がる声。
「お、お兄ちゃん……。その、今日は学科の——」
「こんにちは」
言い訳を終える前に、
背後からひょいと碧くんが顔を出した。
(ま、まずい……!!)
颯はただ静かに、いつもの貼り付けた笑顔だけを碧くんに返すと、私の手首を掴んだ。
「……まずは、”あっち”で晩飯でも食べよう」
「今がそのご飯中なの!!」
私は、颯に掴まれた手を抜こうとした。
(ぬ、抜けない……!?)
なぜか軽く掴まれていたはずの手が離れない。
その時、颯がリビングの方を見据えるようにして言った。
「なら、俺が行くしかないな」
(なんで!?)
颯は私の手をぱっと離すと、
そのまま碧くんの前を通過し、迷いなく部屋の奥へ入っていった。
——夜。
私の部屋は、明るいムードと熱気に包まれていた。
その中心にいるのは、もちろん碧くん。
「あ、美桜ちゃん、そっちの生地! こうやって外側からやって……」
「わ、意外と難しい……こう!?」
何度かひっくり返そうとするも、上手く回らない。
苦戦する私を見て、碧くんはくすっと笑った。
「貸してみ。ほら、こうやって」
碧くんが私の後ろから手を伸ばし、
私の持っていた竹串に手を添えた。
近づいた時にふわりと香った、
颯とは違う甘い香水の匂いに、
思わず心臓がドキッと鳴る。
「碧、ずいぶん篠原さんには優しいじゃん」
「あ、バレたか」
向かい側の男子からの冷やかしに、
碧くんはウィンクを返す。
そのチャラいけれど嫌味のないノリに、
場が一気に盛り上がっていた。
(颯といる、二人だけの静かな時間も好きだけど……こういうみんなで盛り上がる時間も楽しいな)
なんて、少しだけ浮足立っていた時だった。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
「……やば!」
気づいた瞬間、心臓が止まりそうになる。
玄関に走りドアを開けると、そこには案の定——
にこにこの満面の笑みで立つ颯がいた。
「美桜、晩飯でき——」
言葉が途切れ、颯の視線が私の後方へと回る。
「……お楽しみの最中だったかな?」
穏やかなのに、スッと温度の下がる声。
「お、お兄ちゃん……。その、今日は学科の——」
「こんにちは」
言い訳を終える前に、
背後からひょいと碧くんが顔を出した。
(ま、まずい……!!)
颯はただ静かに、いつもの貼り付けた笑顔だけを碧くんに返すと、私の手首を掴んだ。
「……まずは、”あっち”で晩飯でも食べよう」
「今がそのご飯中なの!!」
私は、颯に掴まれた手を抜こうとした。
(ぬ、抜けない……!?)
なぜか軽く掴まれていたはずの手が離れない。
その時、颯がリビングの方を見据えるようにして言った。
「なら、俺が行くしかないな」
(なんで!?)
颯は私の手をぱっと離すと、
そのまま碧くんの前を通過し、迷いなく部屋の奥へ入っていった。

