【改稿版】記憶を失くした御曹司と偽りの妻

その日の夕方。
私は書斎から出てきた御堂に封筒を渡された。

「これ、何ですか」

「就職先候補のリストです」

「……は?」

「編集プロダクション二社、医療系ウェブ媒体一社、出版社の契約編集一件。あなたの経歴で現実的な線をまとめました」

「誰が」

「怜央様です」

思わず封筒を見つめる。

「直接渡せばいいのに」

私のその言葉に、御堂は少しだけ視線を逸らした。

――早く仕事を見つけて、出て行けってことね……。

受け取った封筒の重みが、妙に手に残った。