【改稿版】記憶を失くした御曹司と偽りの妻

廊下の蛍光灯が、やけに白かった。

広間から運び出された怜央は、そのまま久遠家専属の医療チームに囲まれ、ものの数分で車へ乗せられた。私は追いかけたかったのに、割って入る隙もなく、ただ残ったぬくもりだけを両腕に抱えたまま立ち尽くす。

「梨音さん」

呼ばれて振り向くと、御堂がいた。いつもの無表情なのに、さすがに今夜はその表情が少しだけ硬い。

「病院へ搬送します。あなたも」

「……行っていいんですか」

「ここで一人にしても、ろくなことを考えないでしょう」

ひどい言い草だった。
でも、否定できないのが悔しい。