「見つけてしまいましたか」
背後から落ちた平坦な声に、私は危うく雑誌を落としかけた。
振り向くと、いつの間に入ってきたのか、御堂がドアのそばに立っている。相変わらず足音がしない。秘書というより忍者である。
「ノックくらいしてください」
「しました。あなたが記事に見入っていただけです」
言い返せない。
私は雑誌を閉じ、そっと元の場所へ戻した。
「これ……どうしてここに」
御堂は青いファイルを取り上げながら、ほんの少しだけ視線を雑誌へ落とした。
「怜央様は、取材記事を手元に残す方ではありません。持ち上げすぎると嫌がるので」
「それは、なんとなくわかります」
「ですが、あなたの記事だけは別でした」
心臓が、どくんと鳴る。
「何度も読み返していました。『誠実な文章だ』と」
私は返事に困った。
嬉しいのに、くすぐったくて、まともに顔を上げられない。
「……先に言っておいてくださいよ。心臓に悪いので」
「最近、怜央様以外にも心臓へ負荷がかかる案件が増えていますね」
「あなた、その言い方わざとでしょ?」
「半分くらいは」
半分はわざとなのか。本当に性格が悪い。
背後から落ちた平坦な声に、私は危うく雑誌を落としかけた。
振り向くと、いつの間に入ってきたのか、御堂がドアのそばに立っている。相変わらず足音がしない。秘書というより忍者である。
「ノックくらいしてください」
「しました。あなたが記事に見入っていただけです」
言い返せない。
私は雑誌を閉じ、そっと元の場所へ戻した。
「これ……どうしてここに」
御堂は青いファイルを取り上げながら、ほんの少しだけ視線を雑誌へ落とした。
「怜央様は、取材記事を手元に残す方ではありません。持ち上げすぎると嫌がるので」
「それは、なんとなくわかります」
「ですが、あなたの記事だけは別でした」
心臓が、どくんと鳴る。
「何度も読み返していました。『誠実な文章だ』と」
私は返事に困った。
嬉しいのに、くすぐったくて、まともに顔を上げられない。
「……先に言っておいてくださいよ。心臓に悪いので」
「最近、怜央様以外にも心臓へ負荷がかかる案件が増えていますね」
「あなた、その言い方わざとでしょ?」
「半分くらいは」
半分はわざとなのか。本当に性格が悪い。



