【改稿版】記憶を失くした御曹司と偽りの妻

結局その日は、怜央に半ば強制的に連れ帰られるようにして屋敷へ戻った。

そのあと一週間、私は驚くほど厳重に養生させられた。

朝は決まった時間に起こされ、食事は御堂監修のもとで一皿残らず食べさせられ、夜はパソコンを開こうとした時点で回収される。
回収、である。没収と言ってもいい。

「人権はありませんか、ここに」

抗議すると、御堂は涼しい顔でタブレットを見下ろした。

「あります。ですが奥様は、ご自分の体調管理において著しく信用が低い」

「ひどい言われよう」

「事実です」

事実だから痛い。

しかも怜央までそちら側だった。

「今日は二十三時までに寝ること。明日は病院へ来なくていい。朝食を残したら昼食は私が見張る」

冷たい。
声はいつも通り淡々としているのに、私のスープの量だの水分摂取だのには異様にうるさい。

でも、その厳しさが不思議と嫌じゃなかった。
私が倒れかけたときの怜央の顔を、もう見たくなかったからかもしれない。