怜央の回復は思ったより早く、事故から二週間ほどで退院が決まった。
もちろん医師と看護師の出入りありの自宅療養という厳重体制だ。
一般人の「退院」と、財閥御曹司の「退院」は、どうやら同じ言葉でも別ものらしい。
夕食は怜央の回復食に合わせた薄味の和食だった。
向かいに座ろうとしたら、「隣」と当然みたいに指定されて、私は無言で従った。
御堂が報告書を読み上げれば怜央はいつも通り冷静に切り返すのに、私が箸を止めるとすぐ気づく。
「口に合わないか」
「いえ、緊張で味がわからなくて」
「それは由々しき事態だな」
「大げさです」
「君がちゃんと食べないのは困る」
隣でそんな低い声を出さないでほしい。
味、余計にわからなくなるから。
もちろん医師と看護師の出入りありの自宅療養という厳重体制だ。
一般人の「退院」と、財閥御曹司の「退院」は、どうやら同じ言葉でも別ものらしい。
夕食は怜央の回復食に合わせた薄味の和食だった。
向かいに座ろうとしたら、「隣」と当然みたいに指定されて、私は無言で従った。
御堂が報告書を読み上げれば怜央はいつも通り冷静に切り返すのに、私が箸を止めるとすぐ気づく。
「口に合わないか」
「いえ、緊張で味がわからなくて」
「それは由々しき事態だな」
「大げさです」
「君がちゃんと食べないのは困る」
隣でそんな低い声を出さないでほしい。
味、余計にわからなくなるから。



