祝。アフディーとイリオネスの冒険

「な、なんじゃ……。驚かすな、心臓が止まるかと思ったぞ」

 自分のことを棚に上げて、アフディーは頬を少し赤くしながら言い放ちます。

「やっぱり、アフディーだって怖いんじゃないですか。いい加減に帰りましょうよ」

 そんな二人が、森の奥で迷った末にたどり着いたのは、幾重にも重なるツタに固く守られた、小さな小さな古城でした。

 入り口の門は静かに崩れ落ち、何千年もかけて育った大樹の根が、大地の形を変えるほどたくましく地表を抱きかかえています。

 瓦礫の山が歩みをさえぎり、まるで時間が目に見える重みとなって降り積もったかのよう。

 そんな、時が止まったような入り口に、不釣り合いなほど新しい立て看板がひとつ、ぽつんと突き立てられていました。

『この中に入るべからず――特に、女神アフディーは断固拒否する』

 名指しの警告に、二人は思わず顔を見合わせると、イリオネスは「やっぱり」と確信に満ちた呆れ顔を浮かべます。

 同情とも軽蔑ともつかない、深い溜息のような視線を送るのでした。

「……心当たり、ありますよね?」

 アフディーがバツの悪そうな顔で、何か言い訳をしようと口を開こうとした時。
 固く閉ざされた扉の奥から、不思議な音が漏れ聞こえてきました。