祝。アフディーとイリオネスの冒険

 激流の中で自分を支える金牛星の姿。
 織姫の不格好な音色に寄り添い、バイオリンを共鳴させるイリオネス。

 そしてその調べを支えるように、命の限り歌い上げる『情熱的な青い鳥』。

 皆がボロボロになりながら、自分のために道を切り拓こうとしてくれている。
 その情熱を目の当たりにしたとき、彦星の心から迷いが消え去りました。

 彼は、ついにその一歩を激流の中へと踏み出したのです。

 彦星が川に膝まで沈みながらも必死に歩を進めると、金牛星もその歩幅にぴたりと合わせ、身を挺して激流を抑え続けました。

 対岸の『大きな笹の木』の下で待つ織姫の姿がうっすらと見えてくると、同時に織姫の瞳にも、川を渡ってくる愛しい人の姿がはっきりと映り込みました。

 溢れ出す喜びに呼応するように、織姫の琴の音色は一段と力強さを増していきます。

 イリオネスもその確信に満ちた調べに応えるべく、バイオリンの音色をひときわ高く、勇壮な響きへと変えていきました。

 アフディーもまた、誇らしげな笑顔を浮かべ、ありったけの力を込めて呪文を唱えました。

「ウホマイシラバスハレコ!」

 みんなの想いが天に届いたのか、二人の視界を遮っていた神の魔法は、春の雪が溶けるように鮮やかに晴れ渡り、銀河の対岸までを眩い光で照らし出したのでした。