祝。アフディーとイリオネスの冒険

 その不器用で歪な音色の奥から、織姫の「プライドを捨ててでも会いたい」という、なりふり構わぬ剥き出しの想いが、心に直接突き刺さってきたからです。

 すると、その調べに呼応するように、カササギたちが次々と羽を広げて飛び立ちました。

 本来ならば、織姫の奏でる完璧な旋律に合わせて、彼らは彦星を対岸へ導く「頑丈な橋」に姿を変えるはずでした。

 けれども、激しく乱れ奏でられる音色に困惑したカササギたちは、形を成すことができません。

 ただ、その情熱に突き動かされるように、天の川の上空で、光り輝く巨大な渦となってぐるぐると回り続けるのでした。

『情熱的な青い鳥』は、自らの喉を震わせ、まるで悲劇の歌を歌うかのようにイリオネスへ叫びました。

「ああ、なんということだ! 合図であるはずのメロディーが乱れ、カササギたちが困惑している! 我々に、何か手助けする方法は無いのかっ!」

 その言葉に弾かれたように、イリオネスは我に返り、再びバイオリンを手にしました。

  織姫の乱れた調べを否定するのではなく、その「不完全さ」を包み込み、補うように……バイオリンの弦を激しく、かつ繊細に共鳴させます。