私に体力なんてほとんどない。
運動部に所属しているわけでもないし、幼少期から何か特別なことをしているわけでもないから。
最低限の体育を普通にやって、体型維持ができればぶっちゃけそれで良かった。
「ね、ねぇ……。まじでなんなの……」
喉からゼーゼーという音が聞こえる。
これ絶対喉から聞こえちゃダメな音でしょ。
最上階まで上がって、さらにその上まで行く。
流石に屋上に出るドアには鍵がかかっているから、一ノ瀬くんはそこの踊り場で止まった。
「アンタなんでここにいるんだよ!!」
「アンタ何言ってるの!?」
何を言っているのかがわからない。
私がどこにいようと私の自由だし、高校にいる理由としてはここに入学したからだ。
「なんでここにいるんだよ!」
「一つのことしか言えないの!?」
多分お互い、走りすぎて疲れているんだと思う。
疲れると正常な判断ができなくなる。
酸素が足りなくて頭がぼんやりとしていて使えない。
とりあえず腕を振り払って床に座り込んだ。
息を整えないと会話もできない。
私が床に座ったからか、一ノ瀬くんもしゃがんだ。
お互い肩で息をする気まずい時間が流れる。
「……で、なんでアンタここにいんだよ」
「私の名前はアンタじゃない……。ちゃんと花咲舞華っていう名前があるの……」
「あっそう。なんでここにいんだよ」
「質問の意味がマジでわかんないんだけど……」
息が整ったとはいえ、まだ頭がぼーっとするし肺が痛い。
「昨日喫茶店に来てたじゃん。店長と仲良さげに話してた。なんでこの高校に……」
「なんでって言われても、ここに入学したからとしか……」
「……大学生だと思ってた」
「私そんなに老けて見える!?」
地味にショックだ。
さっき同学年のセンター分けの男の子に言われたこともあるけど、私の顔立ちはそこそこ整っていると思っている。
自意識過剰だと思われるかもしれない。
でも、きっとテレビに出ているモデルやアイドルも自分を可愛いって思ってる。
ていうか思っていないとそんな仕事はできないと思う。
「いや、服装も大人っぽかったから。雰囲気が大学生っぽくて……」
「あぁ……ありがとう?」
素直に感謝してもいいものか少し迷う。
大人っぽいと言われて嬉しくない人は少ないとは思うが、一ノ瀬くんの反応でやっぱり迷う。
「ていうか君、先輩にもタメ口使うタイプ?」
私がそう言うと、一ノ瀬くんは驚いた顔を見せて私をまっすぐ見つめた。
綺麗な顔立ちがよく見える。切れ長の目はずっと見ていたから知っている。
黒曜石のような瞳は、どこまでも澄んでいて美しかった。
「……二年生」
「もう少しで三年生だよ〜」
青色の上履きを見て、学年が違っていることにようやく気づいたらしい。
まず初対面の人にいきなりタメ口を使うのはどうかと思うけど。
「うわ……先輩かよ……」
「君は一年生なのに私と同い年だと思ってたの? 私のことを大学生だと思ってたくせに」
しばらく一ノ瀬くんは顔を覆ってしゃがんでいた。
私は疲れがもう落ち着いたので、静かに立ち上がってお尻を叩く。
ここら辺は全然掃除をしていないらしい。めちゃくちゃ埃が溜まっていて汚い。
「ねぇ、君一ノ瀬くんでしょ? 喫茶店で名札がついてた」
「……そうですけど」
「敬語使い始めたね。ウケる」
私がそう言うと、一ノ瀬くんはチッと舌打ちをして立ち上がった。
「舌打ちはお行儀悪いよ」
「アンタには関係ないでしょ」
「アンタじゃない」
「……花咲先輩」
「よし!」
一ノ瀬くんはまだムスッとしていた。もう高校生のくせに子供らしい一面を見せる。
ムスッというか、ただ拗ねているだけなのかもしれないけれど。
「下の名前は、春?」
そう言うと、彼は綺麗な瞳を大きく開けた。
どうやら正解らしい。
「え、ストーカー?」
「被害妄想もほどほどにしようね。あとすっごい失礼だよ」
この失礼な口調はどうにかしてほしい。
せっかく綺麗な顔立ちをしているのだから、もったいないといったらありゃしない。
運動部に所属しているわけでもないし、幼少期から何か特別なことをしているわけでもないから。
最低限の体育を普通にやって、体型維持ができればぶっちゃけそれで良かった。
「ね、ねぇ……。まじでなんなの……」
喉からゼーゼーという音が聞こえる。
これ絶対喉から聞こえちゃダメな音でしょ。
最上階まで上がって、さらにその上まで行く。
流石に屋上に出るドアには鍵がかかっているから、一ノ瀬くんはそこの踊り場で止まった。
「アンタなんでここにいるんだよ!!」
「アンタ何言ってるの!?」
何を言っているのかがわからない。
私がどこにいようと私の自由だし、高校にいる理由としてはここに入学したからだ。
「なんでここにいるんだよ!」
「一つのことしか言えないの!?」
多分お互い、走りすぎて疲れているんだと思う。
疲れると正常な判断ができなくなる。
酸素が足りなくて頭がぼんやりとしていて使えない。
とりあえず腕を振り払って床に座り込んだ。
息を整えないと会話もできない。
私が床に座ったからか、一ノ瀬くんもしゃがんだ。
お互い肩で息をする気まずい時間が流れる。
「……で、なんでアンタここにいんだよ」
「私の名前はアンタじゃない……。ちゃんと花咲舞華っていう名前があるの……」
「あっそう。なんでここにいんだよ」
「質問の意味がマジでわかんないんだけど……」
息が整ったとはいえ、まだ頭がぼーっとするし肺が痛い。
「昨日喫茶店に来てたじゃん。店長と仲良さげに話してた。なんでこの高校に……」
「なんでって言われても、ここに入学したからとしか……」
「……大学生だと思ってた」
「私そんなに老けて見える!?」
地味にショックだ。
さっき同学年のセンター分けの男の子に言われたこともあるけど、私の顔立ちはそこそこ整っていると思っている。
自意識過剰だと思われるかもしれない。
でも、きっとテレビに出ているモデルやアイドルも自分を可愛いって思ってる。
ていうか思っていないとそんな仕事はできないと思う。
「いや、服装も大人っぽかったから。雰囲気が大学生っぽくて……」
「あぁ……ありがとう?」
素直に感謝してもいいものか少し迷う。
大人っぽいと言われて嬉しくない人は少ないとは思うが、一ノ瀬くんの反応でやっぱり迷う。
「ていうか君、先輩にもタメ口使うタイプ?」
私がそう言うと、一ノ瀬くんは驚いた顔を見せて私をまっすぐ見つめた。
綺麗な顔立ちがよく見える。切れ長の目はずっと見ていたから知っている。
黒曜石のような瞳は、どこまでも澄んでいて美しかった。
「……二年生」
「もう少しで三年生だよ〜」
青色の上履きを見て、学年が違っていることにようやく気づいたらしい。
まず初対面の人にいきなりタメ口を使うのはどうかと思うけど。
「うわ……先輩かよ……」
「君は一年生なのに私と同い年だと思ってたの? 私のことを大学生だと思ってたくせに」
しばらく一ノ瀬くんは顔を覆ってしゃがんでいた。
私は疲れがもう落ち着いたので、静かに立ち上がってお尻を叩く。
ここら辺は全然掃除をしていないらしい。めちゃくちゃ埃が溜まっていて汚い。
「ねぇ、君一ノ瀬くんでしょ? 喫茶店で名札がついてた」
「……そうですけど」
「敬語使い始めたね。ウケる」
私がそう言うと、一ノ瀬くんはチッと舌打ちをして立ち上がった。
「舌打ちはお行儀悪いよ」
「アンタには関係ないでしょ」
「アンタじゃない」
「……花咲先輩」
「よし!」
一ノ瀬くんはまだムスッとしていた。もう高校生のくせに子供らしい一面を見せる。
ムスッというか、ただ拗ねているだけなのかもしれないけれど。
「下の名前は、春?」
そう言うと、彼は綺麗な瞳を大きく開けた。
どうやら正解らしい。
「え、ストーカー?」
「被害妄想もほどほどにしようね。あとすっごい失礼だよ」
この失礼な口調はどうにかしてほしい。
せっかく綺麗な顔立ちをしているのだから、もったいないといったらありゃしない。
