二月に差し掛かって、また下校前にアトリエのところで立っていると、
センター分けの同学年の男の子にまた声をかけられた。
「また来てる。そんなに絵が好きなの?」
「私の画力知りたい? てんとう虫も描けないよ」
スクールバッグを肩にかけ直して下駄箱に行こうとした。
でも、男の子に肩を掴まれてしまって歩けない。
「まぁまぁ、上手い下手は正直関係ないよ。
絵を楽しく描ければそれでいい、っていうのがうちの部活の方針なんだよね」
「この私が楽しく描けると思う? 幼稚園生の方が上手に描けるよ」
試しにここで描いてやろうか。地面にでも絵は描ける。
木の棒を持ってガリガリと地面を削れば、花でも木でもなんでも描ける。
「そっかぁ、残念。君みたいな可愛い女の子が入ればみんなのやる気も上がると思ったのになぁ」
「おや、お世辞がお上手だね」
「お世辞じゃないよ。君、結構有名だし。
先生に反抗してカラコンをつけてるって噂が回ってるの知らない?」
「カラコンじゃないって言ってるじゃん」
「いや言われてないし」
こんな感じの会話をしていたら、なんだなんだと美術部員がアトリエから出てきた。
「あ、いつもいる子じゃん」という声がヒソヒソ声で聞こえてくる。
そういう小さな声こそ耳に入るというのをみんなご存知ないのだろうか。
「でも私を可愛いって言ってくれてありがとねっ! お肌のケアとかヘアオイルとか拘ってるんだ!」
頬を両手で包んで、作りたくもない笑顔を作る。
表情筋の使い方はすでにマスターしているから、きっと誰にも作り笑顔だということはバレない。
「嘘だろ!?」
そんな茶番を同学年の男の子としていると、人混みの中から大きな男の子の声が聞こえた。
「一ノ瀬、どうしたの?」
センター分けの男の子がそう言った。
(あぁ、あのバイトに行ってる子か。いつも私が見てる子……)
私がボケーっとそんなことを呑気に考えていると、
一ノ瀬くんはものすごく焦った様子で私の腕を掴んだ。
「ちょっと来て!」
「うわあああ!?」
いきなり引っ張られたから、大きくバランスを崩してしまった。
そんなことはお構いなしに、一ノ瀬くんは私の腕を引っ張って階段をかけ上がった。
センター分けの同学年の男の子にまた声をかけられた。
「また来てる。そんなに絵が好きなの?」
「私の画力知りたい? てんとう虫も描けないよ」
スクールバッグを肩にかけ直して下駄箱に行こうとした。
でも、男の子に肩を掴まれてしまって歩けない。
「まぁまぁ、上手い下手は正直関係ないよ。
絵を楽しく描ければそれでいい、っていうのがうちの部活の方針なんだよね」
「この私が楽しく描けると思う? 幼稚園生の方が上手に描けるよ」
試しにここで描いてやろうか。地面にでも絵は描ける。
木の棒を持ってガリガリと地面を削れば、花でも木でもなんでも描ける。
「そっかぁ、残念。君みたいな可愛い女の子が入ればみんなのやる気も上がると思ったのになぁ」
「おや、お世辞がお上手だね」
「お世辞じゃないよ。君、結構有名だし。
先生に反抗してカラコンをつけてるって噂が回ってるの知らない?」
「カラコンじゃないって言ってるじゃん」
「いや言われてないし」
こんな感じの会話をしていたら、なんだなんだと美術部員がアトリエから出てきた。
「あ、いつもいる子じゃん」という声がヒソヒソ声で聞こえてくる。
そういう小さな声こそ耳に入るというのをみんなご存知ないのだろうか。
「でも私を可愛いって言ってくれてありがとねっ! お肌のケアとかヘアオイルとか拘ってるんだ!」
頬を両手で包んで、作りたくもない笑顔を作る。
表情筋の使い方はすでにマスターしているから、きっと誰にも作り笑顔だということはバレない。
「嘘だろ!?」
そんな茶番を同学年の男の子としていると、人混みの中から大きな男の子の声が聞こえた。
「一ノ瀬、どうしたの?」
センター分けの男の子がそう言った。
(あぁ、あのバイトに行ってる子か。いつも私が見てる子……)
私がボケーっとそんなことを呑気に考えていると、
一ノ瀬くんはものすごく焦った様子で私の腕を掴んだ。
「ちょっと来て!」
「うわあああ!?」
いきなり引っ張られたから、大きくバランスを崩してしまった。
そんなことはお構いなしに、一ノ瀬くんは私の腕を引っ張って階段をかけ上がった。
