素敵な笑顔を咲かせる君と

 冬は嫌いだ。寒いから。
 文化祭は楽しかったけど、寒いのは嫌だ。


 北風は吹くしピーピー言ってうるさいし、
 マフラーや手袋をしていてもほとんど意味ないし、
 強い風のせいで髪の毛がバサってなる。

 なんで冬なんて存在しているんだろう。


(ずっと春だったらいいのに。そしたらみんな過ごしやすいのに)


 でも、そんな都合のいい国は存在しない。
 ずっと冬の国やずっと夏の国はあるだろう。

 けど、ずっと春とか秋の国があるとは思えない。
 あったら教えてほしい。


 でも今日は、週に二回の楽しみの日。
 新しい喫茶店に行くのだ。

 新しいと言っても、最近開店したわけじゃないと思う。
 行ったことがないというだけだ。


 私は喫茶店巡りが好きで、毎週水曜日と日曜日に好きなところに行く。
 チェーン店にも行くし、昭和レトロなところにもいく。

 個人経営で静かなところも好きだし、映えを目的とした賑やかなところも嫌いじゃない。


「いらっしゃいませー」


 明るい女性店員の声が店内に響いた。
 笑顔を浮かべる店員に案内された席に座る。

 やっぱり甘いものは正義だ。
 店に漂うコーヒーとほんのり甘い香りだけで、私の心は癒される。

 まぁ私が単純だっていうだけかもしれないけれど。


「すいませーん」

「はーい!」


 右手を挙げて、店員を呼ぶ。
 このお店はかなり人気らしい。学校帰りの女子高生の集団が多い。


「お伺いします」

「この紅茶と、チーズケーキお願いします」

「はい、少々お待ちください」


 お店の暖房のおかげで、少しだけ体が温まってきた。

 マフラーを外して、風のせいで乱れた髪を手櫛で少し整える。

 ショートケーキが一番好きだけれど、それはもう日曜日に食べてしまった。
 今日は違うケーキの日だ。

 楽しみな気持ちを頑張って顔に出さないで紅茶とケーキを待っていると、通路を挟んだテーブルに座っている女の子たちの声が聞こえた。


「ねぇ、あの子の目ってさ・・・・・・」

「カラコンかなぁ。アニメ好きなのかもね」


 別にバカにしているわけではないのだろう。
 でも、その言葉は明らかに私のことを指している。

 私は生まれながらのオッドアイだ。
 右目が青色で、左が茶色。
 珍しいからか、昔からよく目立っていた。

 でもそんなのはもう慣れている。
 だってみんなが黙る方法を見つけてしまえば、それを実行するだけなのだから。


「お待たせしました。紅茶とチーズケーキです。ごゆっくりどうぞ」


 営業スマイルを浮かべる店員も、私の目のことを見ているのだろうか。

 もしかしたら、忙しさで気にしている余裕はないのかもしれない。

 でも、私の目を見ている人間は何人かいる。
 そいつらを黙らせるにはどうするか。


「いただきまーす!」


 周りの人の迷惑にならない程度に、勢いよく両手を合わせて笑顔で言う。

 私が満面の笑みを浮かべれば、みんな黙るのだ。